賃貸アパートでインターネットを利用したい場合、「どの回線がよいのか?」悩む人は多いです。インターネットの契約において、料金や使い勝手、賃貸アパートの回線状況について疑問を抱くでしょう。
そこで今回は、賃貸アパートでよくある疑問を解消すべく著者がやさしく解説します。インターネット回線についてやおすすめの回線、完備・不対応のメリットデメリットについて理解しましょう。
- インターネット回線には5種類ある
- しっかり使うなら光回線がおすすめ
- 手軽に使うならポケットWi-Fiがおすすめ
賃貸アパートのネット環境
そもそも賃貸アパートには、主に3つのネット環境が存在します。
- インターネット対応:室内工事のみで契約可
- インターネット完備:アパート側で既に契約
- インターネット非対応: 管理会社や大家さんの許可が必要
ネット環境によって、契約できる回線や工事の有無などが異なります。それぞれ詳しく解説しますので、参考にしてみてください。
①インターネット対応:室内工事のみで契約可
「インターネット対応」とは、簡単に述べると室内工事のみでインターネットが利用可能という状態です。
この場合、アパートの共有部分にはインターネット回線が導入されています。ただし各部屋にまでは回線が引かれていないため、個別で契約する必要があるのです。
引用元:工事費について|フレッツ光
上記画像でいう、左側の「光ファイバー引き込み」から「スプリッタ」(マンション内の共有スペース)まで通っているような状態です。
また1口に回線と言っても、さまざまな種類が存在します。「インターネット対応」の賃貸アパートに引っ越すなら、事前に「どの回線が引かれているのか?」という点も確認しておきましょう。
②インターネット完備:アパート側で既に契約
賃貸アパートの中には「インターネット完備」の建物も存在します。この場合、インターネット回線はアパート側で既に契約済みの状態です。
プロバイダ契約も完了しているので、入居後すぐにインターネットを利用できます。手間と費用が不要なため、魅力に感じる人が多いでしょう。
ただし、インターネット完備の場合は自身で回線を選べないというデメリットも存在します。通信速度を重視するなら、事前に確認しておくと安心でしょう。
③インターネット非対応: 管理会社や大家さんの許可が必要
「インターネット非対応」の賃貸アパートはインターネット回線を導入する際、必ず管理会社や大家さんの許可が必要です。
インターネット非対応の場合は、そもそも回線自体が整備されていません。賃貸アパートにインターネット回線を導入するためには、建物内での工事を要します。
事前に管理会社や大家さんの確認を取り、その上でどの回線がよいのか検討しましょう。回線設置の許可がもらえない場合は、工事不要のモバイルルーターやホームルーターで代用できます。
賃貸でインターネットを利用するための5つの回線とは?
- 光回線
- CATV
- ADSL
- ホームルーター
- ポケットWiFi
それぞれ異なる特徴がありますので、参考にしてみてください。
光回線
光回線は紹介した5つの回線の中で、最も通信速度が早い回線です。各社の光回線は通信速度が最大1Gbps以上と優秀で、安定したネット環境を獲得できます。
そもそも光回線とは、光ファイバーを通してデータを送る通信回線です。データの伝達量が他回線と比べて多く、エラーも起きにくいために快適な通信環境を得られます。
通信速度を光回線以外と比較してみましょう。
通信方法 | 通信速度 |
---|---|
光回線 | 1Gbps~2Gbps |
ADSL | 10Mbps~50Mbps |
モバイルWi-Fi | 約700Mbps |
容量を必要とする動画視聴であっても、20Mbps程度でストレスなく楽しめます。光回線と他回線の通信速度は単位も違うので、差がわかりやすいでしょう。
ただし光回線を導入するためには、工事が必要なケースが多いです。ある程度の初期費用も発生するので、予め理解しておきましょう。
CATV
CATVは、同軸ケーブルや光ファイバーケーブルを接続することでテレビやインターネットに繋がります。
もともとテレビ放送用に登場したCATVですが、光回線と併用することでインターネット通信も可能です。光回線も使用していることから、「光ハイブリット」とも呼ばれています。
通信速度は10Mbps~300Mbpsで、安定さは普通です。地域によってエリア対象外になるので注意しましょう。ただし光回線はエリア対象外でも、CATVは接続できるという地域もあります。
CATVは接続が比較的手軽です。しかし通信速度は光回線よりも劣ると言われ、月額費用が割高な点が懸念されます。
ADSL
ADSLは、既存の電話回線を利用してインターネットに接続する通信方法です。通信速度は10Mbps~50Mbpsで、光回線やCATVと比べると劣ります。
以前はNTTの固定電話回線を持っている人のみ利用できるサービスでしたが、現在はどんな人でも契約可能です。ただし通信が不安定な点が懸念ポイントでしょう。
ちなみにADSLは、2024年3月31日でサービス終了が決定しています。現在新しく契約するのはおすすめしません。
ホームルーター
ホームルーターは、工事が不要なためお手軽かつ容量の制限もありません。インターネット非対応の物件でも使用でき、入居後すぐにインターネットに接続できます。
ホームルーター | 契約期間ごとの実質コスト |
---|---|
ソフトバンクAir | 2,982円 |
WiMAX | 4,760円 |
また、各社セット割(Softbankやauなど)が充実しています。持ち運びはできませんが、自宅で快適にインターネット利用が可能です。
ポケットWiFi
賃貸でインターネットを利用するためには、ポケットWiFiを使う方法もあります。そもそもポケットWiFiとは、Ymobileが提供する「Pocket WiFi」から広まった言葉です。
本来はPocket WiFiを含めた「気軽に持ち運びできるルーター(モバイルWiFi)」が、総称してポケットWi-Fiと呼ばれています。
ポケットWi-Fiは有線ケーブルが不要で、無線の電波を使うインターネット接続サービスです。持ち運べるサイズであれば、室内に限らずどこでもインターネットを利用できます。
1人暮らし、もしくは大量の容量を使わない場合は、ポケットWiFiでも満足できるでしょう。またポケットWiFiは工事が不要、安価で利用できる点も魅力です。
賃貸でインターネットを利用するための5つの回線の比較
インターネット回線には、それぞれに異なった魅力があります。賃貸でインターネットを利用するための、5つの回線を比較してみましょう。
回線 | 特徴 |
---|---|
光回線 | ・回線工事が必要 ・通信速度が最も早い |
CATV | ・回線工事が必要、CATV会社と契約 ・通信速度はやや早い |
ADSL | ・回線工事は不要 ・通信速度はやや遅い |
ホームルーター | ・回線工事は基本的に不要 ・通信速度はやや早い |
ポケットWiFi | ・回線工事が不要 ・通信速度、容量は各社で異なる |
「なにを重視するのか?」を考慮すると、スムーズに選べるでしょう。下記では、回線の中でも「光回線」と「モバイルWi-Fi」について詳しく解説します。
最も早くて安定するのは光回線
2021年9月現在、通信速度が最も早く安定するのは光回線です。電気的な影響を受けず、常に一定の速度と安定性を得られます。
回線 | 最大通信速度の目安 |
---|---|
光回線 | 1Gbps~2Gbps |
CATV | 10Mbps~300Mbps |
ADSL | 10Mbps~50Mbps |
ホームルーター | 約600Mbps |
ポケットWiFi | 約700Mbps |
また光回線には、会社によってさまざまなオプションサービスを利用できるという点も魅力です。光電話やテレビサービスを、お得な追加料金で利用できます。
長距離やデータ容量にも左右されません。テレワークでも快適にインターネットを利用できるので、非常に高い人気を獲得しています。
ただし、光回線を利用できない物件もあるので注意が必要です。「光回線がいい!」という場合は、事前に光回線を利用できるのか確認しておきましょう。
コスパがいいのはポケットWiFi
賃貸でインターネットを利用する際、コスパがいいのはポケットWiFiです。
回線 | 料金の目安 |
---|---|
ポケットWiFi | 3,000円〜4,000円程度 |
光回線 | 5,000円前後 |
CATV | 約6,000円 |
ADSL | 2,000〜5,000円 |
ホームルーター | 4,000円前後 |
ポケットWiFiは、多くが3,000円代で契約できます。各社によってプランはさまざまですが、最近は月100Gの大容量タイプが多数展開しており、通信速度も比較的よい状態です。
またポケットWiFiは工事不要のため、初期費用もかかりません。自宅だけでなく屋外でも使用できるので、非常にコスパがよいと言えるでしょう。
賃貸のインターネット対応・完備のメリット
「インターネット対応・完備」賃貸のメリットは、工事不要でお得にインターネットを利用できる点です。
- インターネット対応だと簡単な工事とプロバイダの契約だけで済む
- インターネット完備だと料金が無料
手間とお金がかかりません。それぞれ詳しく解説します。
インターネット対応だと簡単な工事とプロバイダの契約だけで済む
インターネット対応の賃貸アパートは、建物自体への回線工事が完了した状態です。回線は部屋の前まで来ているので、簡単な工事とプロバイダの契約のみで済みます。
インターネット対応の場合は、回線工事が不要なため工事費用が安く抑えられるという費用の面でも魅力です。
またプロバイダは、基本的にマンションが契約している回線に対応するものを選びます。
プロバイダによって月額料金や通信速度が異なるので、事前に複数を比較し検討しましょう。
インターネット完備だと料金が無料
稀に「インターネット完備」の賃貸アパートも存在します。この場合はインターネットを無料で利用でき、大変お得です。
インターネット完備物件は、各部屋のプロバイダ契約までが完了しています。そのため、入居後すぐにインターネット利用が可能です。
「インターネットの回線をつなげる手間が煩わしい」「回線やプロバイダにこだわりがない」という人には最適でしょう。
インターネット対応・完備のデメリット
インターネット対応・完備の賃貸アパートには、デメリットも存在します。
- インターネット対応・完備だと光回線以外のことがある
- インターネット対応・完備だと家賃・管理費が高くなることもある
インターネット利用で重視するポイントによっては、デメリットに感じる可能性があります。事前に理解しておきましょう。
インターネット対応・完備だと光回線以外のことがある
インターネット対応・完備の賃貸アパートは、すでに回線やプロバイダの契約が完了しています。そのため、光回線以外のことがあるので注意しましょう。
光回線は2021年現在、最も通信速度がはやい回線です。光回線の普及率は増加傾向にあり、令和元年の調査では世帯の半数が利用しています。
反対に、約半数は光回線以外です。「通信速度や光回線にこだわっている」という場合には、事前にどこの回線を使用しているのかを確認しておく必要があります。
インターネット対応・完備だと家賃・管理費が高くなることもある
「インターネット対応・完備」の賃貸アパートは、インターネット利用が無料と謳っている場合がほとんどです。
しかし実際には、家賃や管理費にインターネット料金を上乗せしているケースが多くあります。結果、家賃や管理費が高くなることがあるのです。
周辺の家賃相場やインターネット料金を把握し、理解した上で入居を検討しましょう。
賃貸のインターネット非対応のメリット・デメリット
古い建物にありがちな「インターネット非対応」の賃貸アパートにも、メリット・デメリットが存在します。
- インターネット非対応のメリット:家賃・管理費が安い
- インターネット非対応のデメリット:大規模な工事が必要になることもある
自身にとってどう感じるか?を理解しながら、物件選びに役立てましょう。
インターネット非対応のメリット:家賃・管理費が安い
インターネット非対応の賃貸アパートの場合、築年数が古い傾向があります。近年では非対応の物件は減少しているので、代わりに家賃や管理費が安い物件もあるでしょう。
またインターネット非対応の賃貸アパートであっても、ホームルーターやポケットWiFiの対応エリアであればインターネットを利用できます。
特にポケットWi-Fiはコスパがよいので、固定費を抑えたい人におすすめです。
インターネット非対応のデメリット:大規模な工事が必要になることもある
インターネット非対応のデメリットは、大規模な工事が必要になることがある点です。
非対応の場合、そもそも建物に回線が通っていません。そのため、共用部分などに穴あけや配線といった大規模な工事を要することがあります。
また、配線工事はある程度の費用も必要です。下記は光回線の一例になります。
プロバイダ | 工事費 |
---|---|
フレッツ光 | 15,000円 |
ソフトバンク光 | 24,000円 |
NURO光 | 40,000円 |
工事の規模や費用を理解した上で検討しましょう。また対応エリアであれば、お手軽なポケットWi-Fiがおすすめです。
賃貸でインターネットを利用する際によくある質問
実際に、賃貸でインターネットを利用する際によくある質問を集めました。
- インターネットが使えるか書いてない場合はどうすればよい?
- インターネット非対応の場合どうすれば良い?
- 「インターネット無料」って書いてあったけどどういう意味?
それぞれ解説しますので、参考にしてみてください。
インターネットが使えるか書いてない場合はどうすればよい?
引越し先の賃貸アパートに、インターネット設備についての記載がない場合は「インターネット完備」以外であることが考えられます。
インターネット完備以外であれば「対応」もしくは「非対応」です。工事の有無があるので、管理会社や大家さんに聞いてみるのがよいでしょう。
現代はスマホやパソコンが欠かせません。入居前に確認しておくことが大切です。
インターネット非対応の場合どうすれば良い?
引越し先の賃貸が「インターネット非対応」の場合は、建物自体に回線が通っていません。そのためインターネットを利用するためには、建物の共用部分に回線工事を施す必要があります。
回線工事を行う場合は、管理会社や大家さんに「工事をしてもよいか」の許可が必須です。勝手にしてしまうと、契約違反になるので注意しましょう。
回線工事には時間や費用がかかります。そこで、お手軽に使えるWi-Fiルーターがおすすめです。
Wi-FiルーターにはホームルーターやポケットWi-Fiが該当し、工事が不要ですぐに使えます。
「インターネット無料」って書いてあったけどどういう意味?
インターネットの利用料は、賃貸アパートの入居者が負担するケースが多いです。しかし、中には「インターネット無料」物件も存在し、費用負担なしでインターネットを利用できる場合があります。
すでに室内までネット環境が整っているので、入居後すぐに利用できる点が魅力です。
ただし「インターネット無料」の場合は、使う回線を選べません。また利用者が増える夜間は、通信速度が大幅に落ち込むことがあるので注意しましょう。
まとめ
賃貸アパートに引っ越すなら、入居前に必ず「インターネット回線の有無」について把握する必要があります。入居後の「インターネットが使えない!」という状況を避けなければいけません。
対応や完備、非対応によって、それぞれ必要な工程が異なります。事前に把握しておくことで、スムーズにインターネット環境を確保できるのです。
工事の有無や通信速度、かかる費用などを比較し、自身にとって最適な回線を選びましょう。
最近では、お手軽に利用できるポケットWiFiも豊富に展開しています。ぜひ検討してみてください。