6.5兆円の差…コカ・コーラがペプシに〝ボロ負け〟の理由

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コカ・コーラ」は、全世界で最も認知度の高いブランドの1つです。おそらく、米国を代表するようなテック企業よりも認知度が高いでしょう。しかし、近年、コカ・コーラの経営はそれほどうまくいっていません。2012年から2020年にかけて、コカ・コーラの年間収益は480億ドル(約6.2兆円)から330億ドル(約4.2兆円)へと3分の1に減少しています。その後、なんとかコカ・コーラの収益は400億ドル(約5.2兆円)まで回復しました。

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一方、ライバルであるペプシは660億ドル(約8.5兆円)から830億ドル(約10兆円)へと売上を伸ばしています。なぜ、コカ・コーラはここまで苦戦をしているのでしょうか?その理由について、海外YouTubeチャンネル「Logically Answered」が解説しています。



*Category:テクノロジー Technology *Source:Logically Answered,wikipedia

目次

なぜコカ・コーラはペプシに王座を奪われたのか?



インターネット・バブルのピークからコカ・コーラ社の株価は52%成長しています。1998年の1ドルは、現在1.83ドルの価値があります。つまり、実質的な評価を維持するためには、コカ・コーラは83%成長する必要があったということです。そのため、実質的な評価額は30%ほど縮小したことになります。また、同じ期間にS&P500は200%成長しており、コカ・コーラは市場全体に大きく遅れをとっています。

しかし、コカ・コーラの主な競争相手であるペプシは、同じ期間になんと339%も成長しています。なぜ、コカ・コーラは市場を大きく下回り、ペプシに王座を奪われたのでしょうか?

コカ・コーラの成長とその後の伸び悩みには、ある1つの要因があります。それは、ロベルト・ゴイズエタという人物が関係しています。この人は、コカ・コーラを今日の姿にした、たった一人のリーダーです。

ロベルトは1981年から1997年の間、コカ・コーラのCEOを務めました。CEO就任当時のコカ・コーラは市場のピークと思われる時期を迎えていました。なぜなら、14年間大きな成長がみられなかったからです。しかし、コカ・コーラは1982年から1998年にかけて、なんと7200%という驚異的な成長を遂げたのです。



ロベルトは一体何をしたのでしょうか?企業というものは、創業者がいなくなると会社の各属性がどんどん一般的になり、魂のない会社になってしまいます。ロベルトはコカ・コーラの創業者ではありませんが、20代前半に工場勤務の新入社員としてコカ・コーラに入社しています。そのため、創業者が知り得ることと同じくらい会社のことをよく知っていました。

また、会社を知っているだけでなく、大きな賭けをすることも躊躇しませんでした。ロベルトがCEOになる前、コカ・コーラは極めて保守的な会社でした。実際、同社は100年の歴史を通じて、一度もお金を借りたことがありませんでした。しかし、ロベルトはその伝統を完全に捨て、何十億ドルも借りて大規模な国際的賭けを行ったのです。

彼は、この資金の多くを国際的な垂直統合を実現するために費やしました。例えば、フィリピンのボトラー会社の株式を取得するために3,000万ドル(約39億円)を費やしています。これはコカ・コーラにとって最大の国際投資であっただけでなく、フィリピン国内ではペプシが2対1でリードしていたことを考えると、特にリスキーなことでした。

ロベルトの投資は、ソーダの製造そのものとは関係がないことがよくあります。その最も良い例が、コロンビア・ピクチャーズを6億9200万ドル(約900億円)で買収したことです。この買収によって、コカ・コーラは自社製品をハリウッドと融合させることができただけでなく、ハリウッドに進出することができました。

ロベルトのもう1つの大きな賭けは、ベルリンの壁が崩壊すると同時に東欧に進出したことです。この進出は、コカ・コーラがその後3年以内にヨーロッパでペプシを上回るまでになったことを考えると、長期的には非常に有利な行動でした。



また、ロベルトはコカ・コーラの基本的なビジネスそのものにも大きな賭けをしました。例えば、砂糖から40%コストの安い果糖ぶどう糖に切り替えることを提案しています。さらに、ダイエットコーラも導入しています。ダイエットコーラは、この10年間で最も成功した製品です。

しかし、ロベルトの賭けがすべて成功したワケではありません。彼の最も悪名高い失敗の1つは、ニューコークです。1985年、ペプシとの競争力を高めるために、ベストセラー商品であるコーラの配合を変えて登場したのがニューコークです。しかし、これは大失敗となり、ロベルトはわずか77日で元の味に戻すことを余儀なくされてしまいます。

ロベルトは、大きな賭けをし、全力で取り組み、素早く失敗することが好きでした。まるで、テック企業のCEOのようです。テック系CEOといえば、スティーブ・ジョブズがペプシのCEOだったジョン・スカリーをAppleに引き抜いたとき「一生砂糖水を売り続けるか、それとも俺と一緒に世界を変えるか」と言ったそうです。ジョン・スカリーとは違って、ロベルトは砂糖水を売ることにこだわって世界を変えました。

ロベルト没後のコカ・コーラが衰退した理由



しかし、ロベルトの死後、コカ・コーラは変化します。同社は商品ラインナップを減らし、できる限りシンプルにし始めたのです。例えば、ロベルトはニューコークをコークIIとして再出発させますが、ロベルトの死後、コークIIを完全に中止しています。さらに最近、コカ・コーラは、なんと200ものブランドを中止すると発表しました。これにはコカ・コーラ ライフ、スプライト Lymonadeといったブランドが含まれています。

コカ・コーラはまた、再フランチャイズ・プロジェクトを通じて、会社の垂直統合を進めています。2000年代後半、コカ・コーラはボトリング工場の所有権を手放し、代わりに地元のパートナーに任せた方がいいと判断しました。コカ・コーラの純収益が過去10年間減少し続けているのは、これが主な理由だといわれています。

このコカ・コーラの戦略は、純収益は減りますが利益率は高くなるという考え方のようです。しかし、彼らの純利益を見ると、過去10年間あまり変わっていません。



また、コカ・コーラは、既存のラインアップや垂直統合を後退させただけでなく、買収にも消極的になっています。彼らが逃した大規模な買収の1つがゲータレードです。代わりにゲータレードを買収したのはペプシです。コカ・コーラは飲料以外の分野への進出を拒んでおり、これがペプシに負けている大きな理由の1つです。

ペプシはコカ・コーラと違い、飲料だけに依存しているわけではありません。ペプシはドリトス、チートス、トロピカーナ、スターバックス等の食品会社を買収・提携しています。

一方、コカ・コーラは定番の飲料に集中しています。ただ、コアビジネスに集中することも悪いことではありません。実際、スティーブ・ジョブズがAppleを救ったのもこの戦略です。ただ、Appleとコカ・コーラの間には、1つだけ決定的な違いがあります。Appleは、指数関数的に成長する市場の中で、ニッチに集約していました。しかし、コカ・コーラは、世界的に衰退している市場に集約しています。

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人々の健康志向が高まり、甘い飲み物を積極的に避けるようになっています。実際、過去20年間で、従来のソーダの売上は米国内で25%も激減しています。炭酸飲料に対する風当たりは非常に強く、ペットボトルの水がソーダを追い越す勢いです。ただ、コカ・コーラはDasani、Ciel、Smartwaterを所有しており、ボトルウォーター業界においても大きな存在感を示しています。しかし、炭酸飲料業界の大幅な衰退を考えると、水の販売だけではカバーできません。



コカ・コーラの国際的な成長と支配の多くは、ロベルト・ゴイズエタという一人のリーダーの力です。しかし彼の死後、コカ・コーラは以前のような保守的な企業になってしまいました。そして、炭酸飲料市場全体が低迷しています。コカ・コーラが今すぐ倒産することはないでしょうが、次のロベルトが登場しない限り、ゆっくりと衰退していくだけです。

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