ジェームズ・ジミー・ジョンという男性は、わずか28歳にして51,680ビットコイン(2023年の時点の価値で5,000億円超)を持っていたビットコイン億万長者です。しかし、彼が持っていた多額のビットコインは実は「盗難されたもの」だったことが発覚しています。どのようにして彼はこれほどのビットコインを手に入れたのでしょうか?海外YouTubeチャンネル「CNBC」が解説しています。
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ビットコイン億万長者の本当の姿とは?
ジョージア大学を卒業し、コンピュータサイエンスを専攻していたジミーは28歳の若さにして、多額のビットコインを持っていました。ジミーはアテネのバンガローに加え、ラニア湖にも家を購入し、ボートやジェットスキー、高級車も購入していました。また、プライベートジェットを借りて友人などとロサンゼルスにアメリカンフットボールの試合を見に行ったこともあったとのことです。
彼はどのようにして多額のビットコインを手に入れることができたのでしょうか?
ジミーは、2012年にシルクロードと呼ばれる麻薬の売人や銃の密売人が集まる犯罪ダークウェブ市場で5万ビットコインを盗みました。その後数年にわたりビットコインの価格は爆発的に上昇し、価値は約4,400億円以上にまで上昇します。
実はジミーは、一般的なハッカーとは違い、暗号通貨の台頭を牽引した初期の開発者の一人、ビットコインOG(オリジナル・ギャングスター)でした。だからこそ、ジミーはダークウェブ市場のバグを利用し、ビットコインを盗み出せたのです。
当然のことながら、暗号通貨を専門とする国税庁の犯罪捜査官のチームは犯人の追跡を行います。ところが、なかなか犯人を見つけ出すことができませんでした。
ジミーがシルクロードからビットコインを盗んでから数年が経った2019年3月13日の夜、ジミーの家に泥棒が入りました。そして約6,000万円の現金と150枚のビットコイン(当時約9,000万円相当)が盗まれました。ジミーは、警察に電話をして犯人を捜して貰うように依頼します。
警察はその調査の際に「なぜジミーは、こんなに多くのビットコインを持っているのか?」という疑問を持ちました。そこで警察は泥棒の調査をしつつ、ジミーについても調べました。しかし、ジミーがシルクロードからビットコインを盗んだという決定的な証拠はありませんでした。
その後、ジミーが大きなミスを犯し事態は急変します。ジミーは約11万円相当のビットコインを「Know Your Customer」と呼ばれるポリシーを持つ取引所に送金しました。このポリシーでは、取引所から暗号通貨を送ったり買ったりする人は誰でも、名前と識別情報を提供する必要があります。ジミーは本当の情報を報告して取引をしていたため、警察にシルクロードから盗まれたビットコインを持っているのではないかと疑われてしまいました。
警察はさらなる決定的な証拠を手に入れるために、盗まれたビットコインを取り戻す捜査に協力して欲しいと言いジミーの家に行くことにしました。ジミーは疑うことなく、警察を家に招きいれました。
しばらくの間、警察はジミーの家の話やペットの話などをし、警戒されないようにします。そして、家の中をもっと紹介して欲しいとジミーにお願いし、ジミーを証拠が詰まっているパソコンから遠ざけることに成功します。
ジミーがパソコンから離れた直後、警察はパソコンをロックさせないようにしました。そこでようやくジミーに本来の目的である、シルクロードからビットコインを盗んだ犯人について調べていることを告げ、捜索令状を見せます。
その後、地下室の床に隠されていた金庫の中から、現金や新たなコンピュータが発見されました。パソコンを調べたところ数百万ドルのビットコインを持っていることを突き止められます。これで、シルクロードのハッキング事件の犯人はジミーと断定されました。
逮捕後ジミーは、1件の電信詐欺で有罪を認め、2023年に実刑判決を受けています。この事件は、米国史上最大のビットコイン盗難事件と言われています。