Googleの会話AI「Bard」に登載された、YouTubeを分析する機能が大幅に強化されていると、米テックメディア「Android Authority」や「The Verge」が報告しています。
*Category:
YouTube動画を分析する機能が「Bard」に登場
Googleの会話AIボット「Bard」は、今年3月の登場当初はあまり評価されませんでしたが、数々のアップデートを重ねてより実用的なものになっています。
「Bard」には9月のアップデートで、YouTube動画を分析する機能が追加されました。この機能は当初、動画の詳細な内容などは分析できませんでしたが、アップデートによって強化されています。
We’re taking the first steps in Bard’s ability to understand YouTube videos. For example, if you’re looking for videos on how to make olive oil cake, you can now also ask how many eggs the recipe in the first video requires.
— 引用：Android Authority
訳：BardがYouTubeの動画を理解できるようになる第一歩を踏み出した。例えば、オリーブオイルケーキの作り方の動画を探している場合、最初の動画のレシピに必要な卵の数を尋ねることもできるようになりました。
Googleによれば、この機能を導入するのは「YouTubeの動画にもっと深く関わってほしい」「Bardともっと豊かな会話をしてほしい」からとのこと。
動画について具体的な質問ができるこの機能は、非常に興味深いものです。テックメディア「The Verge」は、実際にコーヒーを入れる動画を「Bard」に読み込ませた結果、かなり正確にレシピを出力することができたと指摘しています。
Bard got all of the critical bits right in summing up the video: the ingredients and measurements are all accurate, and the instructions are correct. It even includes the first step of chilling a martini glass by filling it with ice and water. The only thing that’s not quite on target is that it says you should shake the drink for 30 seconds — the video definitely doesn’t demonstrate or advise you to shake it that long. But overall? Yeah, job well done Bard.
— 引用：The Verge
訳：材料と分量はすべて正確で、手順も正しい。マティーニグラスに氷と水を入れて冷やすという最初のステップまで含まれている。ただひとつ、30秒間シェイクしてくださいと書いてあるのが、的を射ていない。ビデオでは確かに、そんなに長くシェイクするよう実演もアドバイスもしていない。しかし、全体的には？ああ、Bardはよくやった。
この機能はGメールやGoogleドライブと連携させられる「Bard Extensions」の1つで、日本では発表されていません。日本語アカウントで試しに「動画に登場するレシピを教えてほしい」という内容と、動画のタイトル、URLのプロンプトを英語で入力したところ、「Bard」はそれらしい返答をするものの、内容に複数の誤りがみられ、チャンネル名を聞くと明らかに違うものが表示されました。
タイトルを入れずに、YouTube動画のURLのみを貼ると「それを処理し、理解する機能がない」との返答が送られることから、おそらく上記のプロンプトでは、タイトルから推測する内容が勝手に生成されているだけだと予測されます。
「The Verge」はこの機能について、便利だと認める一方でコンテンツ・クリエイターに収益が還元されないことを指摘しました。
By having Bard spit out the recipe for me, I’ve just skipped the step where I press play, watch a preroll add, and see the channel’s other recommended videos at the end. That’s great for me, but probably less good for the publisher of the video.
— 引用：The Verge
訳：Bardにレシピを吐き出してもらうことで、再生ボタンを押してプレロール広告を視聴し、最後にチャンネルの他のおすすめ動画を見るというステップを省くことができる。これは私にとっては素晴らしいことだが、おそらく動画のパブリッシャーにとってはあまり良いことではないだろう。
一方で、このようなサービス間の連携はGoogleならではの強みと言える分野です。ChatGPTでも字幕を読み込ませることで要約などを作成することは可能ですが、動画そのものを分析したり、アカウントの情報を直接入手するには多くの手順が必要です。
Googleは「Bard」以外でもこのアプローチを着実に進めており、同社のスマートフォン「Pixel 8」シリーズでも同様のAI統合機能が数多く発表されました。会話の精度などはChatGPTのほうがまだまだ優れている印象ですが、一方で普段使いなどでの実用性は「Bard」が勝るようになるかもしれません。
