100年以上にわたって天文学者を悩ませてきた星の正体が、ついに明らかになりました。この星の謎とその正体を、オランダのアムステルダム大学の天文学者トマー・シェナー氏率いる研究チームが解明しています。
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4300ガウスの強力な磁場をもつ連星「HD 45166」
約3,000光年の距離にある死にかけのウォルフ・ライエ星(WR型星)である「HD 45166」は、100年以上前から観測されていたにもかかわらず、その謎めいた性質は従来のモデルでは説明がつかないものでした。
WR型星は珍しいタイプの星ですが、一方で天の川銀河で最も壮観な星のひとつです。WR型星は核融合に必要な原子燃料の限界に達しており、非常に熱く、非常に明るく、水素は少ないが炭素と窒素は豊富な状態になります。
「HD 45166」は連星で、ヘリウムを豊富に含み、太陽の約4倍の質量を持ち、B型星と1.6日の狭い軌道を回っていました。しかしこれらの性質は、従来の研究で明らかになっていた、連星の進化や恒星風の発生方法について食い違うものだったのです。
研究チームのトマー・シェナー氏の共著者である天文学者ユリア・ボーデンシュタイナー氏は、「私はHD 45166をゾンビ星と呼んでいます」と述べています。
“This is not only because this star is so unique, but also because I jokingly said that it turns Tomer into a zombie.”
— 出典:SciTechDaily
「この星がとてもユニークだからというだけでなく、トマーをゾンビにしてしまうと冗談で言ったからです。」
この奇妙な特性を解明するため、トナー氏は「この星が磁気を帯びているのではないか」という仮説をたてました。そして研究チームが磁場の証拠を探すために、この星を新たに観測したところ、この連星をほぼ完全に再特定化する新しい測定値を発見したのです。
まず、HD 45166の磁場の強さは43,000ガウスで、これは大質量星で記録された中で最も強力な磁場でした。太陽の磁場の平均強度は約1ガウスであることを考えると、この星の磁場がいかに特異かがわかります。
第二に、この星の質量は予想よりもずっと小さく、太陽の2倍程度しかないことが判明しました。最後に、連星の公転周期は8,200日でした。以前検出された1.6日の周期性は、B型伴星の内部振動の結果だったと研究チームは結論づけています。
研究チームは、「HD 45166」はわずか数百万年後に超新星になると予測しています。崩壊するコアは周囲を収縮させて磁場を集中させ、その結果、約100兆ガウスの磁場を持つマグネター(強い磁場が張り巡らされたコンパクトな死兆星)が形成されるのです。また、研究チームは、この星は2つの小さな星が合体してできたのではないかと考えていますが、これはマグネターに進化する例としてはかなり特殊だとされています。