「Apple製品」は、利益率が高いことで有名です。他の製造業の利益率が2~5%であるのに対し、Appleの利益率は25%といわれています。
さらにAppleは最大のライバルであるGoogleからも多額の報酬を得ています。Appleがどのように収益を得ているのかについて海外YouTubeチャンネル「Logically Answered」が解説しています。
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GoogleがAppleに大金を支払う理由とは?
Appleの最大の製品がiPhoneであり、それが今でもビジネスの中核を担っていることは周知の事実です。今年の第1四半期、Appleは総額13兆円相当の収益を上げています。その内の約7兆円はiPhoneの販売によるものです。
現在、AppleはiCloudやApple MusicやApp Storeでも収益を上げています。しかし、もしユーザーがiPhoneを使わなくなった場合、これらのサービスも同時に使用されなくなるでしょう。同じことがAppleの他の製品についても言えます。iPhoneを持っていないのにApple WatchやMacbookを買う人がどれだけいるのでしょうか?つまりAppleの収益はiPhoneの売上にかなりの依存をしているということです。
そのためAppleはiPhoneの販売に力を注ぐ必要があります。実際、2016年当時iPhoneは米国でのスマートフォン販売台数の33%しか占めていませんでしたが、2020年末には65%とほぼ倍増しています。この傾向は米国だけではなく中国でも同様に起きています。これはAndroidユーザーがiPhoneに乗り換えている証拠です。
AppleはiPhoneでより収益を上げられる方法を考えました。それは「ハードウェアの値上げ」です。初代iPhoneは約8万円で購入できましたが、最新のiPhoneだと20万円を超えるモデルもあります。このようにAppleは常に自分たちをプレミアムブランドとして位置づけ、プレミアム価格のプレミアム製品を提供しているのです。
しかしソフトウェアでは、極めて競争力のある価格設定を行っています。実際「Apple Music」と「Spotify」、「iCloud」と「Googleドライブ」などは、ほとんど同じ価格で提供されています。Appleのサービスには価格面でも機能面でも根本的に特別なものはありません。ただ、彼らのブランドイメージ全体がプレミアム製品を中心に構築されてきたことを考えると、ユーザーはAppleのサービスが優れていると連想してしまいます。
そのためiPhoneユーザーであれば「Spotify」ではなく「Apple Music」、「Googleドライブ」ではなく「iCloud」を選ぶ傾向があります。当然のことながらAppleが提供するサービスがiPhoneと相性がいいのも強みの1つです。このような戦略によってAppleはiPhoneユーザーが13億6,000万人であるにもかかわらず、9億人以上の有料会員の獲得に成功しました。
そして、ソフトウェアの出荷がハードウェアの出荷よりもはるかに安いことを考えるとiPhoneを販売するよりもはるかに収益性が高いことが分かります。2023年第1四半期まで遡ると、サービスはAppleの収益の約5分の1しか占めていません。しかし、売上総利益の面ではサービスが3分の1以上を占めており、これは日に日に増加する一方です。
Apple製品は「壁で囲まれた庭」と呼ばれます。そのように呼ばれる理由はiMessageやFacetimeのような自社製品との統合よりも、サードパーティ製品との統合を大幅に悪くする傾向があるからです。このため多くのユーザーは何でもApple製品で済ませようとします。言い換えれば、他社がiPhoneユーザーにサービスを提供するためには、全てAppleを経由しなければならないということです。
当然のことながらAppleを経由するためには費用がかかります。実際、最大の競合ともいえるGoogleもSafariやSiriの検索エンジンへのリダイレクトのために報酬を支払っています。その報酬は2014年時点で約1,400億円でしたが、今では毎年約2.8兆円という莫大な金額になっています。これらは基本的にAppleの100%の利益になります。
iPhoneを使っている人なら、SafariやSiriが何万回となくGoogleにリダイレクトしていることでしょう。Googleが最も支配的な検索エンジンであることを考えれば、これはごく自然なことなのです。
このような方法でAppleは収益を拡大しています。「Logically Answered」は、今後AppleはiPhoneの売上依存からiPhoneの利用依存に切り替わると推測しています。