地球の一日の長さは長い年月をかけて常に変化しています。この理由と変化の変遷について、カナダのトロント大学の天体物理学者ハンボ・ウー氏とノーマン・マレー氏が率いる研究チームが詳しく解明しました。
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月と太陽が地球の時間に影響を与えていた
月が誕生した約45億年前、地球の1日の長さ(自転速度で定義される)はもっと短いものでした。推定では、ほんの数時間という低い値になります。地質学的な記録によると、1日の長さは時間の経過とともに長くなっています。これは、月が1年に約3.78cmの割合で徐々に後退しているためです。
月の引力は、海の潮の満ち引きに大きな影響を与えています。月が地球の周りを移動すると、月の引力によって地球の両側に海の膨らみができます。月の引力はこの膨らみを引っ張り、地球の自転を減速させるブレーキ効果を引き起こします。科学者たちはこの効果を、回転するフィギュアスケーターが腕を伸ばしてスピードを落とすことに例えます。この効果によって、地球の1日は1世紀ごとにおよそ1.7ミリ秒ずつ遅くなっています。
しかし、約20億年前から6億年前の間、1日の長さは19.5時間を維持していました。
なぜ1日は24時間なのか?宇宙物理学者が、地球の1日が10億年以上にわたって19.5時間と一定であった理由を明らかにした。
太陽の光もまた、同じような膨らみを持つ大気の潮流を作り出します。太陽の引力はこれらの大気の膨らみを引っ張り、地球にトルクを発生させます。しかし、地球の自転は月のように遅くなるのではなく、速くなるのです。
— 出典:eurekalert
地球の歴史の大半は、月の影響の方が太陽よりもはるかに強かったため、自転の減速、つまりは「一日の時間が長くなリ続ける」ことが基本でした。しかし、前述したように時間が安定している時期もありました。研究チームによれば。これは大気の影響だとされています。
しかし、共鳴と呼ばれる性質も一役買っていました。これは、波が大気中を特定の高さと速度で伝わることで同期が生じることです。これらの波の速度は、部分的には温度によって決まります。
研究チームはコンピューターモデリングによって、地球の一日の長さが安定していた時期に、気温が一日の長さと同期する波を作り出すことを発見しました。一日は約20時間で、共鳴(膨張したバルジが地球を一周する時間)は約10時間でした。この大気の揺らぎが地球の自転速度を速める効果は、月の後退が自転速度を遅くする効果と見事に相殺されたのです。
「まるで子供をブランコで押すようなものです。押す力とブランコの周期がずれていると、あまり高くは上がりません。しかし、もし両者がシンクロしていて、ブランコが端で止まった瞬間に押すのであれば、ブランコは勢いを増し、より遠くへ、より高く進むことになります。それが大気の共鳴と潮の満ち引きで起こったのです。」とマレー氏は話します。