プロの映画評論家は、興行成績をかなり正確に予測するはずの存在です。しかし、とある特徴を持つ評論家は、悪い評価をすれば映画がヒットし、逆に好意的な評価をすれば失敗することが判明しました。
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悪い批評がヒットの証?!
カリフォルニア大学デイヴィス校の研究によると、とある特徴を持つ映画評論家は、「悪い評価はヒットを予測」することが多く、逆に「好意的な評価は映画が失敗する」とのこと。研究者たちは公開前のコメントと公開週末の興行収入の両方を分析することで、公開前評判の捉え方を変えるかもしれないと考えています。
研究の主執筆者である経営大学院マーケティング・ビジネス分析助教授のパンテリス・ルーポス氏は以下のように述べています。
映画レビューは興行収入を予測できるか
我々は、批評が興行成績に与える影響は、全ての評論家において一様ではないと主張し、映画評論家を区別することが不可欠であると主張する。我々の分析では、すべての肯定的または否定的なレビューが、それぞれ必ずしも映画の成功または失敗を示唆するものではないことを実証している。
— 出典:UCDAVIS
研究者たちは、Rotten Tomatoesに掲載されている映画評論家たちによって書かれた、公開前の数多くの映画評を分析しました。具体的には、レビューに基づいて映画の成功を予測できるかということに焦点を当てました。その結果、あるパターンが浮かび上がってきたのです。
ルーポス教授は以下のように説明しています。
興味深いことに、一部の評論家が公開前のレビューで肯定的な評価をした場合、その映画は大失敗に終わるというシグナルを発していた。逆に、彼らの否定的な批評は、映画が成功することを示唆していた。どちらかの方向へのセンチメントが強ければ強いほど、予測シグナルは強くなる。
— 出典:UCDAVIS
例えば、「ベイウォッチ」や「トゥームレイダー」のような映画は、公開前評判は良かったにもかかわらず、公開週末の興行成績は非常に悪かったのです。さらに注目すべきことは、このパターンはトップクラスの評論家でも同じであったということです。ルーポス教授は「この驚くべき結果は、好意的な評価=興行収入の向上という通説を覆す」と言います。そしてこれらの結果は、専門知識が必ずしも正確な予測につながらないことを示唆しています。
このパラドックスをより深く理解するために、研究者たちはテキスト分析を使って、「失敗を予感させる」評論家たちの文体を調査し、彼らの性格的特徴や認知バイアスについてさらなる洞察を得ました。その結果、「逆予言」する評論家は、「形式的で分析的な文体」を用い、「私」のような自己言及の代名詞をあまり使わないという発見がなされました。
これは、「逆予言」する評論家は自分の能力に自信過剰を示し、そうでない評論家は聴衆の意見についてより自己反省し、レビューに自信を持っていることを示しています。さらに、トップの「失敗を予感させる」評論家は、肯定的なレビューを書く場合に多くの副詞を使用していることもわかりました。
「評論家の性格の役割に関する我々の新鮮な視点は、映画評論の理解に新たな道を開くものである。それは、映画産業が複雑で予測不可能なパズルであることを認める重要なものだ」とルーポス教授は結論付けています。