Googleの量子コンピューター「シカモア」と現行のスーパーコンピューターの計算速度を比較した結果を、研究者が発表しています。
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量子コンピューター「シカモア」の比較ベンチマークをGoogleの研究者が発表
Googleは以前から量子コンピューター「シカモア」で様々な実験を進めています。現在のところ、量子コンピュータの動作には特殊な条件が必要で、安定した状態とは言えないものの、Googleの研究者によれば、その凄まじい演算能力の片鱗はすでに見え始めているようです。
量子コンピューターは、一般的なコンピューティングのビット(0か1かを表す)に相当する量子ビットで、1か0、あるいはその両方を同時に表すことができ、特定の計算を驚異的なスピードで実行できるとされています。
Googleの研究チームは「ランダム回路サンプリング」と呼ばれる複雑な合成ベンチマークを使用し、既存のスーパーコンピューターが同じ計算を実行するのにかかる時間を見積もり比較しました。
その結果、世界で最も強力なスーパーコンピューターである「フロンティア」が同じ数字を計算するのに47年強かかるのに対し、量子コンピューター「シカモア」はわずか数秒で計算できたとのこと。この「数秒」が何秒を示すのかは不明ですが、これがたとえ10秒だとしても10億倍以上の速さです。
「われわれの実証は、古典を超えた量子計算の領域にあると結論づけました」と研究者たちは述べています。
Googleのエンジニアを含むグループは2019年にも、同様の実験を53量子ビットで行っています。ただし、これらの特定のシミュレーションがどれほど実用的なのか、この比較がどれほど公平なのかについては議論が必要だと科学メディア「Science Alert」は指摘しています。
とはいえ、Googleチームは、これが量子の優位性を示すものだとはっきりと主張しています。量子コンピューターの実用化がいつになるのかは不明ですが、実現すれば現行の最速のコンピューターでは不可能だった計算がいくつも可能になるかもしれません。