現在、メジャーリーグで猛威を振るっているのが『スイーパー』という変化球です。その一番の使い手と言われているのが、ロサンゼルス・エンゼルスに所属する大谷翔平選手。大谷選手が多用していることでスイーパーという球種が広く知られるようになりました。多くのバッターを泣かせているこの“魔球”は一体どんな球なのでしょう!? 解説します。
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目次
- 1. スイーパーはスライダーの一種
- 1.1. 新球種ではなく、新たな呼び名
- 1.2. 過去の“使い手”は
- 2. 現代では大谷投手の代名詞に
- 2.1. 大谷投手のスイーパーにキャッチャーも困惑⁉
- 2.2. 専門家も舌を巻く
- 3. 大谷選手の影響もありメジャーリーグで急激に増加
- 3.1. ダルビッシュ投手らも持ち球に
- 4. スイーパーを含めた配球が課題に
スイーパーはスライダーの一種
『スイーパー』とは、スライダーの一種ですが、通常のスライダーよりもさらに大きく横に曲がるのが、なによりの特徴です。垂直方向へ落下しながら横に滑るように曲がっていきます。変化量が大きいため、打者の体勢を崩して空振りを誘うことができるのです!
新球種ではなく、新たな呼び名
もっとも、まったく新しい球種かと言うと、そうではありません。前述したとおりスライダーの一種であり、メジャーリーグのアナリストやデータ解析会社がスライダーと同一にすると計算が合わなくなるために、新たな名前をつけて定義したのです。
大谷選手自身も、「ずっと投げていました。小さいスライダーだったり、大きいスライダーだったり。『スイーパー』っていう言い方がちょっと前に始まりましたけど、日本の時からずっと投げていました」と話しています!
過去の“使い手”は
1994年に殿堂入りを果たしたスティーブ・カールトン氏(元フィラデルフィア・フィリーズ)の決め球も、大きく変化するスライダー。当時、カールトン氏が「日本で学んだ」と語っていたため、その球種は『メイドインジャパン』とも呼ばれていました。
また、1990年代にニューヨーク・メッツやニューヨーク・ヤンキースで活躍したデビッド・コーン氏も現役時代に投げており、さらにヤンキースで4度の世界一を経験したジェフ・ネルソン氏が現役時代に得意としていたのも、大きく曲がるスライダーだったのです。
現代では大谷投手の代名詞に
今季すでに4勝をマークしている大谷投手の代名詞となっているこのスイーパー! 160キロを超える剛速球と合わせて使うことでバッターを手玉に取っていくのが大谷投手の基本的なピッチングスタイルです。
大谷投手のスイーパーは特に変化が大きく、水平方向に20インチ(50.8センチ)ほど曲がると言われています! 右打者からしてみれば、自分に目掛けて飛んできたボールが、バットを振った時には外角まで外れているのですから、たまったものではありませんね。
大谷投手のスイーパーにキャッチャーも困惑⁉
現地時間5月9日のヒューストン・アストロズ戦では、大谷投手と初めてバッテリーを組んだキャッチャーが捕球しきれずに後逸してしまう場面もありました。この日、エンゼルスのキャッチャー陣に故障者が相次いだことで、マイナーリーグから昇格したばかりのクリス・オーキー選手が捕手を務めていたのです。しかし、大谷投手のスイーパーのあまりの変化にキャッチできず、ワイルドピッチとなってしまいました。
これには「オーキーがんばってくれよ……」「心配事が当たってしまった」「これは大谷がかわいそう」とファンも嘆き節。一方で「なんじゃ今の球」「すごい曲がり方だ」「オーキーには辛いな」と驚きやオーキー捕手を擁護する声も少なくありませんでした。
専門家も舌を巻く
また米投球アナリストのロブ・フリードマン氏は、大谷投手のスイーパーを絶賛。大谷投手がアストロズ戦で見せた84.1マイル(約135.3キロ)の変化球を例に挙げて、「このスイーパーは水平に23インチ(約58センチ)も変化している。まるで空中でブレーキがかかっているかのようだ」と舌を巻きました。
大谷選手の影響もありメジャーリーグで急激に増加
そんな大谷選手の活躍も影響して、スイーパーはメジャーリーグで一大トレンドとなっています! もともとメジャーリーグでは速球勝負が好まれていましたが、昨年はストレートの割合が減少し、スライダーの割合が急上昇。2015年に6割近くあったストレートの割合は昨年初めて5割以下となり、2015年に1.5割弱だったスライダーは初めて2割を超えたのです。
ダルビッシュ投手らも持ち球に
アメリカのデータサイト『Codify Baseball』は「今季のメジャーリーグで80マイル(128.7キロ)以上の球速かつ、20インチ(約50.8センチ)以上横に変化した球を投げた回数」を計測しています。
そこでは1位が67球の大谷投手。2位タイが39球のミッチ・ケラー投手(ピッツバーグ・パイレーツ)とアンドリュー・バスケス投手(フィラデルフィア・フィリーズ)。そして、それに続く4位が28球でダルビッシュ有投手(サンディエゴ・パドレス)であると紹介しています。
今後もスイーパーを持ち球として活用する選手は増えていきそうです!
スイーパーを含めた配球が課題に
ただし、これだけ大流行していますから打者も研究しないわけはありません。ここからはスイーパーだけでは打ち取れない時期が来るでしょう。そこで他の球種といかに使い分けるかがピッチャーにとっては課題になりそうです。そして大谷選手がこの魔球を活かしてどんな偉業を達成するのか。注目したいですね。