クモは空腹になると「視力を失う」ことが研究で判明、その理由とは?

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空腹でいるとどうなりますか?精神的に辛かったり、体重が落ちるなど肉体的にも影響を与えますよね。なんとクモは、空腹で視力を失い始めるということが明らかとなりました。

*Category:サイエンス Science *Source:sciencealert,UC CINCINNATI

目次

クモから発見、視力低下と栄養不足の関係


クモの新たな研究で、長い間栄養を摂らずにいると、視覚の重要な部分を失い始めるということが判明しました。さらにこの研究で観察された視力低下は、人間の加齢黄斑変性症(AMD)とほぼ同じであることがわかりました。この現象をさらに研究することで、AMDに対するより良い治療法が開発できるかもしれません。

研究者たちは、ハエトリグモの一種であるフィディップス・アウダを調査しました。このクモが獲物を探す時、大きな目にある視細胞に非常に依存しています。そしてもし十分な栄養が得られないと、この視細胞は失われる場合があるのです。


「視細胞はエネルギー的に負担が大きい」とシンシナティ大学の生物学者エルケ・ブッシュベック氏は話します。

空腹の目:クモは飢えているときに視力を失います

彼らのエネルギー必要量を維持するのは難しいのです。もし栄養を奪われたら、システムは破綻する。これは、私たちの目の黄斑に相当する機能です。


— 出典:UC CINCINNATI

研究者たちは専用の検眼鏡を使って、クモの前側眼(ALE)の網膜損傷を調べました。栄養不足のクモ9匹と、そうでないクモ12匹を比較して視細胞の密度分布を調べました。


損傷は、視細胞が最も密集している部分に多く、それ以外の場所での損傷は少なかったのです。餌を制限されたクモは全体的に小さくなっていましたが、これは予想通りです。視細胞が失われる様子は、人間の眼球の黄斑部(目の前のものを処理する部分)とよく似ています。人体の代謝と視力の問題は、詳細は不明ですが、以前から関係があると言われていました。

シンシナティ大学の生物学者アネット・ストワッサーは、「この結果が人間の治療にどのように役立つかを語るには、まず慎重に設計された研究によって、どの栄養素が正確に関与しているかを明らかにする必要があります」と述べています。

栄養素の欠乏が示された効果をもたらすということは、栄養素の効果に細心の注意を払うことの重要性を示しています。


— 出典:UC CINCINNATI

実は、研究者たちは、栄養と視力の関連を調べるためにクモの研究を始めたわけではありません。観察していた一部のクモの視細胞に黒い斑点があることに偶然気付いてから、この研究が始まったのです。

2014年の統計によると、全世界の人口の約8.7%が何らかの形でAMDに罹患しており、関連する医療に莫大な費用が費やされています。AMDは、時間の経過とともに悪化し、深刻な視力低下を引き起こす可能性があります。そして約85~90%の症例で、目の中の視細胞が失われているのです。その原因として、遺伝、高血圧、肥満などが考えられていますが、栄養も関係があるのかもしれません。

「もし、人間の黄斑変性症治療における画期的な治療法が、全米の裏庭に生息するクモの研究からヒントを得たとしたら、それはとても素晴らしいことだと思いませんか」と、シンシナティ大学の生物学者ネイサン・モーハウス氏は言います。困難な問題に対する答えは、思いもよらないところから生まれることがあるようです。

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