Jリーグはホームグロウン制度における2023シーズンの選手人数および不遵守への対応について発表しました。ところでホームグロウン制度って一体何!? なんのために作られた制度なの? ルールを破るとどうなるの? そんな疑問について詳しく解説します。
【Jリーグ】最多は広島!! “ホームグロウン選手”って一体何!? それは・・・
目次
- 1. ホームグロウン制度の概要
- 1.1. ホームグロウン選手の定義
- 1.2. 目的を具体的に解説
- 1.3. プレミアリーグにおけるホームグロウン制度
- 1.4. Jリーグでの規定の変遷
- 1.5. ホームグロウン制度を守らないとどうなる?
- 2. 各チームのホームグロウン選手数
- 3. レギュレーションを知ってJリーグをより深く楽しもう
ホームグロウン制度の概要
ホームグロウン制度とは、Jリーグの各クラブが選手育成にコミットし、アカデミーの現場を変えていくことを目的としたものです。2019シーズンから導入され、Jクラブは、ホームグロウン選手を規程の人数以上、トップチームに登録する必要があります。
ホームグロウン選手の定義
ホームグロウン(homegrown)とは直訳すると「地元出身・国産・家庭で作った」という意味ですが、サッカーにおいては必ずしも地元出身選手のことを指すわけではありません。
Jリーグが公式に発表している定義は以下です。
「12歳の誕生日を迎える年度から21歳の誕生日を迎える年度までの期間において、特定のJクラブの第1種、第2種、第3種又は第4種チームに登録された期間(以下、本条において「育成期間」という)の合計日数が990日(Jリーグの3シーズンに相当する期間)以上である選手を、本条において当該Jクラブのホームグロウン選手という」
表現が固くて非常にわかりづらいですが、要約すると「小学6年生から高校卒業後3年目までに、3年間そのクラブに在席していた選手」ということですね。期限付き移籍の間も含まれ、期間は連続してなくても構いません。
目的を具体的に解説
Jリーグでは前述したとおり「選手育成にコミットし、アカデミーの現場を変えていくことを目的とする」としています。そもそもなぜアカデミー選手の育成に力を入れるのかと言うと、外国籍選手の登録数が緩和されていくなかで、自国の若手選手のキャリアを潰さないようにするためであり、その国外流出を阻止するためです。また若手による選手層の底上げが図れるため、それがひいては日本サッカーの底上げにつながるわけですね。
プレミアリーグにおけるホームグロウン制度
イングランドのプレミアリーグでは2010-11シーズンが導入され、現在は「ホームグロウン選手をトップチームに最低8名以上登録しなければならない」というルールが定められています。
プレミアリーグにおいては、外国人枠を定められていないため、何人でも自国以外の選手を登録・出場が可能。一方でホームグロウン選手の登録枠は厳しく定めることで、自国選手の流出や出場機会の確保をしているのです。
プレミアリーグにおけるホームグロウン選手の定義は以下。
「21歳の誕生日を迎えるまでに、3シーズンまたは36ヶ月以上、イングランドまたはウェールズのクラブでプレーしていなければならない。国籍は問わない」
Jリーグでの規定の変遷
Jリーグでは段階的にホームグロウンの規定数を増やしています。当該シーズンの初回の登録ウインドーの終了日に、以下の人数以上のホームグロウン選手を登録していなければなりません。今シーズンで言えば3月31日に「J1なら4名以上、J2とJ3なら2名以上」の要件を満たしていなければいけません。
2019~2024シーズンまでの規定人数は以下の通り
2019シーズン J1:2名 J2/J3:0名
2020シーズン J1:2名 J2/J3:0名
2021シーズン J1:3名 J2/J3:0名
2022シーズン J1:4名 J2/J3:1名
2023シーズン J1:4名 J2/J3:2名
2024シーズン J1:4名 J2/J3:2名
ホームグロウン制度を守らないとどうなる?
今季の発表では以下のクラブが不遵守であると発表されました。
J2:いわきFC、ザスパクサツ群馬、藤枝MYFC
J3:いわてグルージャ盛岡、ヴァンラーレ八戸、福島ユナイテッドFC、SC相模原、カターレ富山、FC大阪、奈良クラブ、FC今治、テゲバジャーロ宮崎、FC琉球
今回規定人数を満たせなかったクラブは、2024シーズンのプロA選手を「25名枠」から不足人数分だけ減らされることに……。しかしクラブによってはアマチュア契約の選手が多く、罰則の意味を成していない現状もあります。特にプロ契約選手が3人以上いればいいJ3クラブにとっては取り立てて意に介すものではないでしょう。
各チームのホームグロウン選手数
各チームのホームグロウン選手数を見てみましょう。最多は16人のサンフレッチェ広島です。かねてより育成に定評があり、アカデミーから数多くの選手を輩出しているクラブ。今季は野津田岳人選手や大迫敬介選手などユース出身者は12にのぼります。
■J1■
北海道コンサドーレ札幌:8
鹿島アントラーズ:12
浦和レッズ:5
柏レイソル:12
FC東京:10
川崎フロンターレ:10
横浜F・マリノス:8
横浜FC:5
湘南ベルマーレ:5
アルビレックス新潟:6
名古屋グランパス:7
京都サンガF.C.:9
ガンバ大阪:8
セレッソ大阪:9
ヴィッセル神戸:9
サンフレッチェ広島:16
アビスパ福岡:6
サガン鳥栖:6
J1合計:151
■J2■
ベガルタ仙台:4
ブラウブリッツ秋田:2
モンテディオ山形:3
いわきFC:0
水戸ホーリーホック:2
栃木SC:4
ザスパクサツ群馬:1
大宮アルディージャ:10
ジェフユナイテッド千葉:4
東京ヴェルディ:9
FC町田ゼルビア:2
ヴァンフォーレ甲府:5
ツエーゲン金沢:2
清水エスパルス:10
ジュビロ磐田:14
藤枝MYFC:0
ファジアーノ岡山:2
レノファ山口FC:2
徳島ヴォルティス:3
V・ファーレン長崎:3
ロアッソ熊本:5
大分トリニータ:8
J2合計:95
■J3■
ヴァンラーレ八戸FC:1
いわてグルージャ盛岡:0
福島ユナイテッドFC:0
Y.S.C.C横浜:2
SC相模原:0
松本山雅FC:7
AC長野パルセイロ:3
カターレ富山:1
アスルクラロ沼津:3
FC岐阜:4
FC大阪:0
奈良:0
ガイナーレ鳥取:4
カマタマーレ讃岐:5
愛媛FC:9
FC今治:0
ギラヴァンツ北九州:3
テゲバジャーロ宮崎:1
鹿児島ユナイテッドFC:2
FC琉球:1
J3合計:46
レギュレーションを知ってJリーグをより深く楽しもう
アカデミーで育った選手や生え抜きの選手は、やはりファン・サポーターとしても応援したくなる存在ですよね。Jリーグはホームグロウン制度の他にも様々な施策を打ち出しています。最新のレギュレーションを知れば、Jリーグをより深く楽しめることは間違いなしです!