これまで注目されていなかった2種の鳥が、実は猛毒を持つ毒鳥だったことが、コペンハーゲン大学の研究者によって発見されました。この鳥が持つ神経毒は非常に強力で、1mgあればゾウ2頭すら死に至らしめるとされているものです。
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強力な神経毒「バトラコトキシン」をもつ鳥の謎
今回猛毒を持っていることが明らかになったのは、キエリモズヒタキ(Pachycephala schlegelii)とアカエリモズヒタキ(Aleadryas rufinucha)という2種の鳥です。発見した研究者によると、これらの鳥は生息地であるパプアニューギニアのジャングルでは珍しくない鳥だとのこと。
見た目は普通の鳥見えますが、この鳥から発見された毒は「バトラコトキシン」という非常に強力な神経毒です。バトラコトキシンは、高濃度で接触すると筋肉のけいれんを起こし、ほぼ瞬時に心不全になります。この毒はヤドクガエルなどがもっていることが有名で、1mgあればゾウ2頭、人間なら20人を死に至らしめる、自然界では最強の猛毒です。
バトラコトキシンは、神経細胞や筋細胞の正常な反応を阻害し、筋肉を収縮させるため、心不全や心室細動などを生じさせる。モウドクフキヤガエルは体長5cmほどだが、1匹が含有する約1mgのバトラコトキシンは、ハツカネズミなら1万匹、人間なら20人、ゾウなら2頭を殺すのに十分な量だ。
この毒をもつ有名な鳥類としては、ピトフーイが知られています。オレンジと黒の羽が印象的なピトフーイは、約30年前にこの毒をため込む鳥として初めて発見されました。
今回新たに毒性が確認された2種は、ピトフーイと同じくパプアニューギニアのジャングルに生息しています。なお、新しい毒鳥が発見されるのは20年以上ぶりのことだそうです。
この20年以上、新しい毒鳥は発見されていなかったので、これらの鳥が毒であることがわかり、本当に驚きました。特に、この2種の鳥はこの地域で非常によく見られる鳥だからです。
これらの鳥は羽毛に毒を溜め込んでいますが、バトラコトキシンの摂取は致命的であり、軽い接触でも不快になるほど強力です。では、なぜこれらの鳥はこの毒を持っていて平気なのでしょうか?
これについて研究者は、進化の過程で猛毒ガエルへの耐性を持った鳥が、この毒を生かして捕食者から身を守るようになったのではないかと指摘しています。
有毒な食べ物を食べる能力を進化させた鳥自身が有毒になり、食物連鎖のさらに上の捕食者から身を守ることができるようになるかもしれない。そうして、競争は連鎖的に続いていくのです。それが進化です。何でも起こり得ますが、長い時間がかかることが多いのです。