GAFAなどのテック企業には数多くの社員がいます。しかし、その8割の社員は「不要な存在」です。そのように言える根拠について、海外YouTubeチャンネル「Logically Answered」が解説しています。
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なぜテック企業は過剰に社員を雇用してきたのか?
テック企業大手のFacebookには8.6万人、Googleには19万人、Appleには16.4万人の社員がいます。これらの社員の30~50%がソフトウェア・エンジニアです。また、プログラムマネジメントやIT、ソリューションアーキテクトに携わる技術者も多いです。
ただ、これらの企業の中核となるサービスのほとんどは、数年前からすでに構築され機能しています。つまり、Googleのソフトウェア・エンジニアは、検索アルゴリズムをゼロから書くことはありませんし、Instagramのソフトウェア・エンジニアも、メッセージング・インフラをゼロから作る必要がないということです。
では、多くの社員は何をしているのでしょうか?常識的に考えれば、このような会社を運営するには、それだけの人数が必要だと思われるかもしれませんが、そうとは限りません。
実際、2021年末まで7.5千人いたTwitterの社員は、イーロン・マスクが買収し解雇を実施したことによって、社員数はわずか1.3千人、そのうちフルタイムエンジニアはわずか550人にまで縮小されました。ところが、私たちが見る限り、Twitterはまだ完全に稼働しています。また、Twitterは運営を続けているだけでなく、Twitter Blueのような新機能を展開することさえできました。Twitter規模の企業であれば約1,000人程の社員数で運営できるのです。
しかし、テック企業の多くは必要以上の雇用を行うようになりました。例えば、Facebookです。2014年末の時点で、彼らは9.2千人の社員を抱えていました。この時点で、Facebookはすでに10年以上の歴史を持ち、Facebook、WhatsApp、Instagramという3つの主要なプラットフォームを所有しています。
これらのサービスの中核となる機能は完成しており、今後の課題は最適化とスケーリングだけです。スケーリングが簡単だというわけではありませんが、今後数年間で9倍もの人員増を正当化できるかというと、そこには疑問が残ります。
また、GoogleでもFacebookと同じような行動が見られます。2014年当時、Googleの社員数は5.4万人でした。この時点で、Googleはすでにお金を生むサービスをすべて立ち上げ、順調に業績を伸ばしており、時価総額は4000億ドル(約52兆円)にも達していました。しかし、Googleは社員数を20万人近くまで増やしています。
これらの企業が多くの人を雇う主な理由の1つは、単に「雇えるから」です。これまで述べてきた企業のほとんどは、単独で非常に高い利益を上げているか、ベンチャーキャピタルから無限の資金を得ています。最初の頃、これらの企業はすべてのお金を使ってビジネスの根本を作り上げます。そして、手元資金が増えたら新規事業を多角化し、ユーザーベースとブランドイメージを固めます。しかし、やがてやることがなくなってしまうのです。言い換えれば、市場が飽和状態になったということです。
従来であれば、このような時期になると企業は配当金を支払うものですが、今回取り上げるのはテック企業です。石油、消費財、工業の巨大企業は、ここまで到達するのに50年、70年、100年かかります。しかし、これらのテック企業は、5年、10年、20年以内にこの地点に到達することが多いです。そのため彼らは異常なスピードの成長に慣れ、視点がかなりゆがんでしまいます。
その結果、成長しているテック企業は「お金はいくらでもあるのだから、優秀な人材を採用し、後から仕事を与えたらいい」と考えるようになりました。しかし、この考え方は肥大化した労働力につながります。ただ、テック企業はそのようなリスクがあっても無限の成長を追い求め、雇用を拡大し、多岐にわたった研究を行い続けます。
実際、過剰と思われる社員のほとんどは、日の目を見ないようなモノの研究に取り組んでいます。例えば、インターネット接続を向上させる気象観測用気球や、ワイヤレス接続を可能にする光などです。テック企業が今できることは無限のアイデアを試すことです。
結局のところ、現状のプラットフォームを維持するだけであれば、社員の20~30%程度で済むでしょう。しかし、彼らはプラットフォームを維持するだけでなく、さらに時価総額を増やそうとしています。そして、次のChrome、次のiPhone、次のInstagramが見つかるかもしれないという期待から、何万人もの社員を過剰雇用し、何十億ドルものお金を使い、何千万時間もの労働時間を浪費することを厭わないのです。
ただ近年、これらの企業は初めて資金が減少し、多くのプロジェクトが本業に打撃を与えるのを目の当たりにし始めました。そのため、今までの方針を変えGoogleは1.2万人、Facebookは2.1万人の社員を解雇することを発表しています。この数は非常に多く見えますが、実際のところGAFAはさらに人数を削ることも出来るのです。