たった3粒で人が死ぬ。暗殺者が好む猛毒植物2つ

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世界にはたくさんの危険な植物があります。何千年もの間、スパイや殺人者、暗殺者に利用されてきました。しかし一方で貴重な薬理作用があることも分かっています。そんな不思議な植物についてYoutubeチャンネル「Real Science」が解説しています。



*Category:サイエンス Science *Source:Real Science,

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目次

猛毒植物


トウゴマ

1978年、ロンドンに住むブルガリア出身の作家ゲオルギー・マルコフは通勤途中、突然足に痛みを感じました。何者かに傘で突かれたのです。しかし実際には傘に偽装された空気銃によって直径1.5mmほどの弾丸を打ち込まれていました。弾丸の中にはトウゴマの種子から取れるリシンが仕込まれていました。

トウゴマは現在、世界中の温帯・熱帯地域で栽培されています。この植物の最も注目すべき点は、その種子です。大きなものでは、1シーズンに10万5千個の種子を作ることができ、その中には貴重な産物と同時に、猛毒も含まれています。トウゴマから作られるオイルは、燃料や薬として利用されてきました。しかし、種にはリシンという毒が含まれており、大人1人を殺すのに3~6粒しか必要ないほど致命的なものです。


リシンは、自然界に存在する最も毒性の強い物質の一つです。摂取するよりも、吸入したり、筋肉に注射する方がはるかに危険です。リシンの吸入による致死量は1キログラムあたり3〜5マイクログラムであるのに対し、経口摂取による致死量は1キログラムあたり20ミリグラムとされています。

リシンは、細胞が機能するために必要なRNAとタンパク質からなるリボソームを不活性化するため、非常に致命的です。リボソームがないと細胞は死ぬので、リシンは大規模な細胞死を引き起こします。リシンは1分間に1500〜2000個のリボソームを不活性化することができます。リシンが体内に入ると、最も近い臓器系に影響を与えます。吸い込むと肺組織を破壊し、体液の蓄積、肺胞炎、壊死性肺炎を引き起こします。

一方、リシンを摂取した場合は胃痙攣、嘔吐、下痢、消化管潰瘍、腎不全を起こす可能性がありますが、病院で治療することができるのでまだ助かるかもしれません。


リシンが混入した封筒が2004年に米国上院議員に、2013年にはオバマ大統領に送られています。アメリカ、イギリス、ドイツではリシンを抽出しようとした殺人犯が逮捕されました。さらにアメリカでは自分の土地にトウゴマを植えたというだけでFBIが捜査するそうです。

また種子を油に加工することさえ危険を伴う可能性があります。トウゴマの主要生産国の一つであるブラジルの製造工場では、気管支喘息が150件以上発生し、うち9件が死亡したと報告されました。厚生省が調査したところ、トウゴマの加工方法によって労働者が病気になったことが判明しました。

リシンの致死性を考えれば、多くの国が化学兵器としての使用を調査しているのも当然と言えるでしょう。第一次世界大戦中、アメリカ陸軍省が戦場に散布する有毒な粉塵や、弾丸や榴弾のコーティングに使用できないか研究していました。しかしリシンは熱に弱いため、砲弾に使うには問題がありました。第二次世界大戦中、アメリカはリシンの実験を重ねましたが、結局使用されることはなく、生物毒兵器の使用に関する条約によりリシンの使用は禁止されました。またリシンはボツリヌス菌や炭疽菌に比べて毒性が低いので、大量殺人には実はそれほど有用ではありません。

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