郵便で送られてきたUSBメモリをPCに差し込んだところ、爆発するという事件がエクアドルで多発しています。
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軍用爆薬「RDX」が仕掛けられたUSBメモリ
※画像はイメージです
海外メディア「CBS News」によると、エクアドルのジャーナリスト5人が郵便でUSBメモリを受け取りました。このUSBメモリはそれぞれ、起動すると爆発するようになっていたそうです。
このUSBメモリを受け取ったエクアビサTV局のレニン・アルティエダ氏は、自分のコンピュータに挿入してしまい、爆発が発生しました。同氏は手と顔に軽い怪我を負ったものの、他に被害はなかったそうです。
警察関係者によると、爆発したフラッシュドライブには5ボルトの爆発物があり、RDXが使用されていたと考えられています。別名T4と呼ばれるRDXは、起爆装置のベースチャージとして単独で使用できるほか、TNTなど他の爆薬と混合することもできる軍用の爆薬です。今回使用されたRDX約1cmのカプセルに入っていたものの、アルティエダ氏が差し込んだドライブではその半分しか作動しなかったたとのこと。
EXA FMラジオ局で働くアルバロ・ロセロ氏も、15日にUSBメモリが入った封筒を受け取ったそうです。彼はそれをプロデューサーに渡し、プロデューサーはアダプター付きのケーブルを使ってコンピューターに接続しました。しかし、アダプターに爆発させるだけの十分な電力がなかったため、USBは爆発しませんでした。
なお、被害にあったジャーナリストがこのような危険な行動に出た理由について、テックメディア「Ars Technica」は「スクープを狙ったのかもしれない」と指摘しています。明らかにジャーナリストを狙いうちにした巧妙な罠です。
英メディア「BBC」によれば、USBメモリはすべて同じ町から送られており、3つはグアヤキルのメディア関係者に、2つは首都キトに送られていたとのこと。なお最初の一件以外のUSBメモリは爆発せずにすんだそうです。
爆発したドライブには脅迫の手紙も添付されており、一部のUSBメモリに添付されていた手紙には不特定の政治団体に対するメッセージが書かれていたとのこと。今回の事件の目的について、エクアドル内務大臣は「ジャーナリストを黙らせるための明確なメッセージ」であると述べ、非難しています。
エクアドルは世界的な麻薬取引の温床となっており、同地域では暴力事件が増加しています。とくに今回の事件がおきたグアヤキルは、犯罪組織の衝突が多発する危険な都市です。
エクアドルは、世界2大コカイン生産国であるコロンビアとペルーに挟まれ、近年はそれ自体が世界の麻薬取引のハブとなっています。2021年、エクアドルの法執行機関は、コカインを中心とした210トンの薬物を押収し、記録を更新しました。
グアヤキルは、麻薬の密売ルートをめぐる犯罪組織同士の衝突が頻発し、最も暴力的な都市の一つです。
日本では同様の事件の報告はありませんが、少なくとも怪しいUSBメモリや郵便物には十分注意すべきでしょう。マルウェア感染などのリスクだけではなく、このような命に関わる問題を引き起こす可能性もあるのです。