もしも太陽系に惑星が増えたら、地球や他の惑星に対して、どのような影響をもたらすのでしょうか?これについて、カリフォルニア大学の天文学者が詳細なシュミレーション実験を行っています。
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スーパー・アースの出現は太陽系にどのような影響をもたらすのか?
私達の住む地球がある太陽系は、スーパー・アースと呼ばれる惑星がない、惑星系としては非常に珍しい部類に入ります。スーパー・アースとは、地球よりも質量が大きく、かつ主成分が岩石や金属などの固体成分と推定された惑星を指すものです。
NASAの太陽系外惑星探査ミッションでは、このスーパー・アースが太陽系外に数多く存在することが判明しています。太陽系外惑星の3分の1がスーパーアースなのです。
太陽系にスーパーアースがないのは、木星が小惑星帯の方に大きく移動し、また戻ってきたときに、太陽に大量の物質を送り込んだため、スーパーアースの形成が抑えられたからだと考えられています。
では、スーパー・アースが太陽系にあった場合、他の惑星にどのような影響を及ぼすのでしょうか?
スーパー・アースは、地球の2倍から10倍の大きさになります。ケイン氏はさまざまな質量の惑星をシミュレートし、火星と木星の間の主要な小惑星帯に複数の距離で配置しました。
まず、地球と太陽の距離の2倍、つまり2天文単位にスーパー・アースを配置し、100年ごとに太陽系の8つの惑星がそれぞれどのような結果をもたらすかを記録。この結果、水星、金星、火星、地球の4つの内惑星は、軌道の変化に特に弱く、多くの場合は4つの惑星の一部、または全てが太陽系から放り出されてしまうことが判明したのです。
また、地球の7倍の質量を持つ惑星を火星の少し先に配置したところ、4つの内惑星の軌道がすべて不安定になることがシミュレーションで確認されました。地球と金星の軌道は偏心したり卵型になったりして「破滅的な接近遭遇」をしたのです。最終的に、地球と金星は800万年頃に太陽系を脱出してしまいました。
シュミレーションの中には、地球を含む内惑星を、太陽に直接衝突させてしまったケースもあったとのこと。このようなシナリオが実現してしまえば、当然ながら人類をはじめとする地球の生命は死に絶えてしまうでしょう。
しかし、何千ものシミュレーションの中で、木星や土星が離脱するケースはありませんでした。ケイン氏によれば、軌道がわずかに不安定になるのは、平均運動共鳴(MMR)と呼ばれる、2つの惑星の公転周期が互いに単純な整数比で一致する特定の場所だけなのだそうです。
全体として、この研究は「木星が太陽系の力学にとっていかに重要だったのか」という事実を示しています。ケイン氏は宇宙専門メディア「Space.com」に対し「比較的小さな変化でも、太陽系の安定性に大きな違いをもたらす」と語りました。