マイクロソフトの検索エンジン「Bing」がチャットAIを搭載したのに対抗し、検索統合型チャットAI「Bard」の開発を進めるGoogle。しかし「Bard」による検索の拡大は「コストの大幅な増加を意味する可能性がある」という指摘が登場しています。
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Googleの検索統合チャットAI「Bard」で膨れ上がるコスト
「Bard」は、GoogleのチャットAIとして今月初めに発表され、ChatGPTや、今回のマイクロソフトの新しいBingと同様のスタイルになることが明かされました。しかし、Bardはまだ一般公開されておらず、水面下でテストが行われている状態です。
これについて米通信社「Reuters」は、GoogleのBardが運用開始されると、維持にかかるコストが大幅に増加する可能性があると指摘しています。
Googleの親会社であるアルファベット会長のジョン・ヘネシー氏は、Bardのような「大規模言語モデル」は、従来のキーワード検索と比較して、検索のコストを「10倍に膨らませる可能性がある」と、同社に述べています。ただしこの費用は、製品が微調整されるにつれて、すぐに下がるとのこと。
しかし投資銀行「Morgan Stanley」はこの技術について「たとえ広告がついたとしても、結局はGoogleの収益を圧迫する可能性がある」と指摘しています。
Googleが昨年行った3.3兆件の検索クエリのコストはそれぞれおよそ5分の1セントであり、この数字はAIが生成しなければならないテキストの量によって増加すると推定しています。例えばGoogleが、ChatGPTのようなAIが50単語の回答で受け取るクエリの半分を処理した場合、2024年までに60億ドル(約8,100億円)の経費増に直面する可能性があるそうです。
AIによる検索強化の追加コストは、チップのコストやメンテナンス、電気代などのコンピューティングコストが主です。調査・コンサルティング会社である「SemiAnalysis」は、Bardの使用コストは最大30億ドル(約4,050億円)と試算しているものの、その額はGoogleが持つTensor Processing Unitの数によって制限されると指摘しました。
ただし「Ruters」が共有した「Googleに近い関係者」によれば、検索におけるAIの正確なコストを突き止めるのは「早い」とのこと。効率と利用が実際のコストを決める重要な要素だと述べています。
OpenAIのサム・アルトマンCEOも以前、ChatGPTのコストについて「目の玉が飛び出るほど高い」と述べていました。さらに、検索エンジンと統合することを考えると、BardのコストはChatGPTの比ではないほど膨れ上がると予想できます。
we will have to monetize it somehow at some point; the compute costs are eye-watering
— Sam Altman (@sama) December 5, 2022
チャットAIの収益化がうまく行かなければ、BardのコストはGoogleにとって「丸損」になります。チャットAIを搭載したBingの公開プレビューを開始しているマイクロソフトは、「Bing」の追加コストについて「新規ユーザーの流入と広告収入の増加」が「AI検索の追加コスト」を上回ると述べていました。とはいえGoogleはすでに大きなシェアをもっているため、新規ユーザーの増加はBingほど望めないでしょう。
またテックメディア「9to5Google」は、コストも懸念材料ではあるものの、同社がより重視しているのは「正確性」のほうだと指摘しています。ジョン・ヘネシー氏は、AIが本当に役立つツールになるにはまだ「1〜2年」かかるとしており、Bardはまだ間違った答えを出すことがあると述べていました。しかしGoogleはBardの「今後数週間以内」のリリースを約束しており、そう待ってはいられない状況となっています。