スマートフォンやパソコンの中古市場は大きくなっている一方で、Appleの一部のMacが中古市場で「ゴミと化す」問題が発生しています。なぜ、高額で高性能なMacが使えなくなってしまうのでしょうか?この問題について、海外メディア「businessplus」が解説しています。
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Macがゴミになってしまうワケとは?
使わなくなったスマートフォンやパソコンは初期化されて中古で販売されることがよくあります。しかし、一部のMacは中古で販売することができていません。再生した中古Macなどを販売するRefurbed社の共同創設者ペーター・ヴィンディッシュホーファー氏は「世界中の何千台ものMacBookがスクラップとして安く売られたり、埋立地に捨てられたりしている」と主張しています。
なぜ、Macを中古で販売することができないのでしょうか?その原因はMacが2017年から搭載している「T2チップ」にあります。「T2チップ」とは、セキュリティチップで、本来の所有者でない人がマシンにログインすることを不可能にしています。このセキュリティは盗難にあった際などには非常に有効的に働きます。
しかし、中古販売をするときには疫病神になってしまうのです。なぜなら、中古ショップがMacを初期化しても、元オーナーが適切な初期化をしていなければセキュリティが働いてMacを使用不可(アクティベーションロック)にしてしまうからです。また、使用不可になったMacを復旧させる適切な方法は現状ありません。
実際、リサイクルショップには使用不可になった「T2 MacBook」が大量にあるようです。
As I predicted years ago, Activation Locked T2 MacBooks are flooding into recyclers (15 of these are 2020 M1!) Recyclers willing to violate the R2 cert sell to uncertified barbarians like me who use them for parts, but most just scrap due to liability paranoia. #righttorepair pic.twitter.com/uvsQZK8nJR
— John Bumstead (@RDKLInc) January 17, 2023
何年も前に私が予測したように、アクティベーションロックされたT2 MacBookがリサイクル業者に殺到しています
これらのコンピュータの前所有者は企業や学校であることが多く、マシンを大量に売買するため、リサイクル業者や再生業者がマシンのロックを解除することに関心がないとのことです。そのため、買取時に適切にロックが解除できているかを確認することもできません。
このようにして、一部のMacが事実上「ゴミ」になってしまうのです。この「T2チップ問題」は「機器の寿命を10年延ばし最終的に電子廃棄物を減らすこと」を目的としているright-to-repeace運動に反していると指摘されています。また「消費者が再生可能なサステイナブルデバイスにアクセスすることを制限し、再生産業の継続的な発展を阻害している」とも言われています。
中古市場はAppleに対して、「T2チップ問題」を解消できる方法を要望していますが、現状Appleはその要望には応じていません。