チャットAI「ChatGPT」や画像生成AIの登場により、AIが人の仕事を奪うのではないかという懸念は以前よりも増しています。
実際のところ、企業はAI導入により、雇用を削減しようとしているのでしょうか?これについて海外メディア「CNBC」が、テック系以外の多くの企業に働きかけ、AI導入の可能性と落とし穴について、技術担当のトップに尋ねています。
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「AI導入」を経営者や幹部はどのように考えているのか?
「AIは雇用を奪う」という意見は一般的になっていますが、各業界の経営者たちは、そうではなく「そもそも人間がすべきでない反復的あるいは平凡な仕事」をAIが引き継ぎ、人間は「より重要な仕事をできるようになる」と以前から一貫して主張しています。「CNBC」によれば、今回の調査でも、経営者のメッセージも「ほとんどがそれだった」そうです。もっとも、雇用が失われる例がないわけではありません。
ある幹部は、顕微鏡などを扱う手作業の実験室のオペレーターを例に挙げ、この仕事が過去10年の間にすでにAIに置き換わっていることを指摘しました。また、弁護士や会計士の仕事をしている企業幹部は、AIが弁護士に取って代わるのではなく「AIを使う弁護士が、今の弁護士に取って代わる」だろうと語っています。
特に専門職の業界では、弁護士や会計士などの専門家がAIを使わなければ、その専門家はより効果的、効率的になり、より多くのことができるようになるので、ツールを活用した専門家に取って代わられるだろう、という認識が今はあるようです。
技術部門では、ある最高技術責任者が、4年前にサービス依頼のための生成的AIを使った実験を始めた結果「会社の計画外のサービス依頼の約89%が完全に自律的に処理されるようになった」と述べています。これにより、フロントエンドの対応力が時間とともに向上したため、チームの人員削減はゼロにだったと述べています。
「私たちは人を解雇していない。職を失ったわけでもない。人事部、オペレーション部、営業部、設備部、法務部、すべての人がこのツールを使っています」と幹部は語りました。ChatGPTで強化された人たちが、そうでない人たちの代わりになっているのです。
しかし、このような考え方は「楽観的」と考える経営者もいるとのこと。彼らは「ビジネスプロセスさえも、こうしたものの上に構築され、こうしたブラックボックスになってしまうのではないか」と指摘しています。
とはいえ、このAIのトレンドを無視することはできないでしょう。労働市場を調査しているアヌ・マドガフカル氏は「米国では労働者の4人に1人が、仕事でAIやテクノロジーを採用することが増える」と米メディア「The Guardian」に語っています。
同氏によれば、50~60%の企業がAI関連のプロジェクトを進めているとのこと。そのため「いずれにせよ人々は、AIと一緒に働くことを学ばなければならないだろう」と指摘しています。
要するに、AIの普及によって「消える仕事」は、AIを使わない仕事だと言えるでしょう。今後重要なのは、AIを怖がることではなく、使い方や活用方法を学ぶことです。幸いなことに、画像生成AIでは「Stable Diffusion」が無料で公開されており、誰でも触れることができる状態になっています。