コロナ渦から世界的なインフレ、そしてロシア情勢などで揺れた2022年。現在も、将来的に人類滅亡に繋がる可能性のある危機はいくつも存在しています。これから人類に大きな影響を与えるかもしれない脅威を、海外YouTubeチャンネル「Big Think」がランキング形式で解説しています。
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2023年に発生するかもしれない大問題とは?
人類滅亡の脅威ランキング「トップ10」は下記の通りです。
第10位:水ストレス
水の問題は、すべての人にとってリアルタイムで進行する問題です。実際に、ある場所では水が多くなり、ある場所では少なくなっています。この影響でヨーロッパでは輸送に大きな問題が発生しています。
また、農家は通常の季節に作付けできる十分な資源がないため、生産性を高める方法を変えなければなりません。この問題は、中東やサハラなどのアフリカに最も大きな影響を及ぼしていますが、世界的にも影響を与えています。
生物多様性や二酸化炭素排出に関するCOPサミットのように、水に関するCOPサミットもありますが、誰も注目していません。なぜなら、優先事項になっておらず何もしていないからです。そのため、資源が得られず、毎年悪化しています。2023年は、世界の水が、炭素や生物多様性と同じようなストレス状態にあることを示す最初の年になるでしょう。
第9位:TikTok世代
これは、TikTokのことではなく、TikTokで育った世代のことを指します。欧米ではかつてないほど多様な世代で、最も活動的な世代といわれています。彼らは、非常に重要な議題を推進するという意味でも、権力者の結果を変えるという意味でも、より大きな影響力を持っています。
この世代は最も進歩的な世代であるため、世界経済に大きな波紋を投げかけ、その結果、より大きな変動を引き起こし、より多くの政治的、経済的変化をもたらすでしょう。
第8位:アメリカの分断
アメリカは世界で最も強力な国です。しかし、アメリカの政治的分裂は大規模で、世界の他の先進国よりもはるかに大きく、統治を機能的に行うことはかなり困難になっています。実際、教育の改善やアメリカへの移民問題などにも対処できていません。
ただ、2024年に向けて、アメリカで憲法上の危機が起こる可能性は、ほぼゼロでしょう。
第7位:世界の発展が止まる
この50年間、世界では教育、健康、寿命、経済成長において信じられないほどの進歩がありました。しかし、現在、貧困に追い込まれる人が増え、学校を去る子どもが増え、女性は性的人身売買などに追い込まれ、過去50年にわたり努力して獲得してきた基本的人権を失っています。
国連は、コロナ禍が始まってからの3年間で、地球上の人間開発の5年分が失われたと推定しています。2023年には、その損失はさらに加速するでしょう。
この様な問題の原因は、コロナの危険性、ロシアのウクライナ侵攻による混乱、あらゆるサプライチェーンの課題、それに伴うインフレ、気候変動などです。それらをすべて合わせると、世界の発展は止まってしまうのです。
第6位:エネルギーの逼迫
ロシアのウクライナ侵攻により、ヨーロッパは世界最大のエネルギー生産国の1つであるロシアからガスや石油の多くを調達することができなくなりました。
しかし、ヨーロッパはエネルギーが必要です。そのため、可能な限りのコストをかけて、他の国からエネルギーを調達しています。その結果、価格が上昇し、ヨーロッパのような潤沢な資金を持たない発展途上国ではエネルギーが逼迫しています。
第5位:追い込まれるイラン
イランでは数ヶ月前に、スカーフを正しく着用していなかった若い女性が、道徳警察によって殺害されました。そのことがきっかけで、1979年の革命以来最大のデモが起こりました。しかし、イラン政府は理由もなく自国民を処刑することもいとわなくなってきています。
また、アメリカがJCPOA(イラン核合意)から離脱したことによって、イランは核開発を行う意思を示しました。
そして、イランはロシアの最良の友です。中国はウクライナ侵攻のための軍事支援を行っていませんが、イランは行っています。このイランの姿勢はアメリカやヨーロッパを怒らせています。
イランで政権交代が起こる可能性は比較的低く、仮に起こったとしても、民主主義ではなく、軍事独裁政権に向かうはずです。そのため、これらの問題の解決にはつながりません。つまり、イランとどこかの国が軍事衝突する可能性は非常に高くなっているということです。
第4位:インフレの影響
コロナによって世界経済が驚異的に収縮した後、経済を立て直すために、世界の主要経済から膨大な財政支出が行われました。その結果、市場にあるお金は増えました。しかし、需要が拡大したことによってサプライチェーンの負担は大きくなり、世界中でコストが上昇してしまったのです。
世界の成長率は2021年の6%から2022年には3%、2023年には2%を切ると予想されています。これは世界的な景気後退であり、特に現在のインフレを考えると、世界中に深刻な影響を与えるでしょう。
裕福な国々は、労働者や中間層の面倒を見続けることができる資金を持っています。しかし、財政的余力のない発展途上国は、崩壊していくかもしれません。発展途上国の多くで、こうした経済的課題から生じる社会的・政治的不安定は、2023年にはここ数十年で見たことのない高い水準に達するはずです。
第3位:大量破壊兵器
民主主義を破壊するツールが広まる可能性があります。例えば、ディープフェイクです。実際に、悪質な行為者によってこれらのツールが悪用されるのを目の当たりにしています。
ブラジルではInstagramやFacebookの真実かどうか分からない情報によって「選挙に不正があった」と考える人が増え、何万人もの人々が建物を占領するなどの暴動に発展しました。このように、ディープフェイクが政治的・経済的に利用され、自由市場の適切な機能に大きな危険をもたらすのです。
第2位:習近平国家主席
習近平国家主席は今や誰もが認める中国の指導者であり、任期制限を撤廃し、終身大統領になることができます。彼はまた、共産党の全階層を、忠実な人々だけで取り囲んでいます。そのため、チェック体制が弱くなっています。
彼が間違った判断をすれば、世界に大きな影響を与える可能性があります。実際、今まで貫いていたゼロコロナ政策を終了し、国内だけに留まらず世界を混乱させています。そのレベルの不確実性は、コロナの問題以外にも、テクノロジー企業の扱い、世界経済への関与、さらには国家の基本的な安全保障の問題にまで及んでいます。
しかし、いいニュースもあります。それは、習近平国家主席はアメリカとの冷戦を望んではいないということです。バリでのG20の後、習近平国家主席とバイデン大統領は「両国に損害を与えるような形で関係が悪化することのないようにする」という話をしています。
ところが、世界中の多くの企業は中国経済から切り離し始め、グローバル化を巻き戻し、世界市場の効率を低下させ、世界経済に課題をもたらすという決断をしています。
第1位:ロシア
ロシアは1年の間に、先進国全体から孤立し、最も重要な貿易相手であるヨーロッパから経済的に切り離されました。ロシアはウクライナを侵攻する前の状況には戻れないのです。むしろ、NATOは拡大し、ウクライナはヨーロッパ大陸で最も強力な軍事国家の1つになっています。
しかし、プーチン大統領は今後も大統領を務めるはずです。これから重要なことは、彼が何をするかということです。
ロシアは世界のどこよりも多い6000発の核兵器を持っています。また、サイバー攻撃やテロなどがNATO諸国に対して行われる可能性もあります。NATOはより強力になっていますが、それは同時に、今後より大きな危険が生じることを意味しています。
2023年は戦場やその周辺での事故や誤算による相互破壊の可能性が、1962年のキューバ・ミサイル危機以来のどの時点よりも高くなるでしょう。
ちなみに、人類滅亡までのタイムリミットを示す「終末時計」は2023年、これまでで最も短い「残り90秒」に設定されました。人類滅亡というとSFの出来事のようにも感じられますが、実際のところはそれだけ「世界の終わり」の脅威は近づいているのです。