マイクロソフトが、「ChatGPT」のアップグレード版AIを搭載した検索エンジン「Bing」の新バージョンを発表しました。
*Category:
» 関連:10万円超え案件だらけ「ChatGPT」「DALL·E 2」などのAIを使ってだれでも稼げる「Fiverr」がバブル状態!
マイクロソフトがチャットAIを搭載した「Bing」公開
マイクロソフトのサティア・ナデラCEOは、製品発表のイベントで「検索にとって新たな日」と述べました。ナデラCEOは、ウェブ検索は数十年前から変わってこなかったものの、AIは従来の方法よりも流動的かつ迅速に情報を提供できると主張しています。
ナデラCEOは「レースは今日から始まった。我々は動き、速く動くつもりだ」と語り、新たな「Bing」をアピールしました。マイクロソフトは、「Bing」にレシピを問い合わせたり、旅行のヒントを得たり、イケアで家具を買ったりと、多くの検索例を紹介しています。
あるデモでは、「Bing」に「メキシコシティへの5日間の旅行の各日の旅程を作成してほしい」と依頼しています。この質問にはすべてチャットボットが答え、大まかな旅程と詳細な情報源へのリンクを提供しました。
「ChatGPT」とは異なり、新しい「Bing」は最近の出来事に関するニュースも取得することができます。テックメディア「The Verge」が行ったデモでは、過去1時間以内にニュースサイトが公開した記事を引用し、マイクロソフトのリリースに関する質問に答えることもできたそうです。
新しい「Bing」のプレビューはすでに公開されており、サイトにアクセスすると新たなUIを確認できます。ただし今のところ、一般ユーザーはプリセットの質問を尋ねることしかできません。フルアクセスが提供される日程は今のところ不明ですが、サインアップ待ちリストが用意されており、準備ができしだい順次提供されるようです。
Googleも昨日にはチャットAI「Bard」の数週間以内のリリースを約束しており、マイクロソフトと検索エンジンへのAIの統合でしのぎを削っています。しかし重要なのは、チャットAIが本当に検索に取って代わることができるのか、ということです。目下の問題点となりうるのは、AIが間違った情報を流してしまう可能性です。 マイクロソフトはプレゼンテーションの中で、こうした問題やその他の問題に言及し、AIを偏見や悪用などのリスクから保護するために懸命に取り組んできたと述べています。
しかし、「The Verge」が行ったテストでは、「Bing」の間違った回答もすぐに発見されました。同メディアがチャットAIに「今日マイクロソフトは何を発表したのか」を教えてもらうと、発表内容の他に「有名人のパロディのための機能をデモした」という不正確な回答も返したとのこと。
テックメディア「9to5Google」は、大多数の人が情報の再確認をせず、AIが出した「簡単な答え」を信じてしまうだろうと指摘。新しい「Bing」はしっかり情報ソースも示すようになっていますが、だからといって内容が正しいとは限りません。さらにいえば、ソースの情報に誤りが含まれている可能性もあります。
マイクロソフトやGoogleといった大企業のサービスというと無条件に信頼しがちですが、ことAIに関してはまだまだ「未成熟の技術」であることを忘れてはいけません。従来のネットやSNS以上に、AIが出した情報は鵜呑みにせず、別の情報源も探って再確認することが重要です。
なお、マイクロソフトもこの点は理解しており「BingはAIを搭載しているため、驚きや間違いが起こる可能性がある」と警告し「必ず事実を確認し、フィードバックを共有することで、改善することができる」と示唆しています。GoogleとマイクロソフトはAIと検索エンジンの融合をかなり急いでいますが、精度の面では「リリースするには時期尚早」といえる状態です。時間が経つにつれて改善されることは期待できますが、「AIが間違う可能性がある」ということは心に留めておくべきでしょう。