プラスチックは燃えるゴミと分別することで、一部がリサイクルされ、有効活用される仕組みとなっています。しかし、このリサイクルシステムが崩壊し、プラスチックがインドで燃やされていると、米経済紙「Bloomberg」が指摘しています。
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Amazonのプラスチック包装がインドに大量流出
環境系NGO「グリーンピース」は、米国におけるプラスチックリサイクルの現状に関する報告書で、リサイクルボックスに入れているプラスチックの大半は、埋立地、あるいはそれ以上の場所に向かっていると指摘しています。実際にリサイクルされて新しくなったプラスチックの量は、約5%と過去最低に落ち込んでいるとのこと。この数字は、より多くのプラスチックが生産されるにつれて、さらに減少すると予想されています。
専門家によると、廃プラスチックの問題は、回収と分別にお金がかかることだそうです。現在、何千種類ものプラスチックがありますが、どれも一緒に溶かすことはできません。また、プラスチックは1、2回使用すると劣化してしまいます。「グリーンピース」によれば、プラスチックは再利用されればされるほど、有害性が増すとのこと。一方で新しいプラスチックは安価で生産が容易であり、結果として、プラスチックゴミにはほとんど市場がありません。
この廃プラスチックの行き先となっているのがインドです。首都ニューデリーから北に約13キロのところにある都市ムスタファ・ナガールの周辺には、製糖工場や製紙工場が多くあります。「BloomBerg」によれば、同都市は海外から来たプラスチックのゴミ捨て場になってしまっているとのこと。
このプラスチックのほとんどは海外から来たもので、そのほとんどはアメリカとカナダからのものだそうです。特に多いのはAmazonのゴミで、いたるところに配送用梱包があります。これらのプラスチック廃棄物は、どのようにしてここまで来たのでしょうか?
製紙工場では、木材パルプよりも安価な輸入古紙に頼っています。インドでは、国内でリサイクルするための紙を十分に調達できないのです。問題は、この古紙にプラスチック製の包装ごみが同梱されていることが多いことです。
「BloomBerg」によれば、インドには、年間50万トンものプラスチックごみが流入しているとのこと。その多くは、製紙工場や製糖工場などの地場産業の燃料として使われています。住民によると、プラスチックが一晩で燃やされると、灰色や黒色の灰が降り積もり、棚田や作物などを覆ってしまうそうです。
リサイクルは公害を減らし、貴重な素材に第二の人生を与えるはずでした。しかし「BloomBerg」は「世界的なリサイクルシステムの失敗は否定しがたい」と指摘しています。同都市を管轄する公害管理委員会は10月、プラスチックを燃やし、製粉工程から出る灰を管理していないとして、市内にある30以上の製粉所のうち半数近くに罰金を課したと発表しています。しかし、それはこの問題の根本的な解決方法にはなっていません。
リサイクル率を少しでもあげるにはどうしたらいいのでしょうか?NHKが公開した札幌市のゴミ処理場の取材記事によれば、「汚れのひどいプラスチックはリサイクルできない」とのこと。ただし、完全に汚れをおとす必要はないそうです。
プラスチックがリサイクルできるかどうかの基準は「固形物があるか、ないか」とのこと。少しでもリサイクル率を上げるためにも、食材のパッケージなどのプラスチックゴミは軽くすすいでから捨てるようにすると良さそうです。