2022年、AppleはiPhone14シリーズで商業的に失敗していた「mini」を廃止し「Plus」を発売しました。しかし、iPhone 14 Plusもminiと同様に商業的に「失敗」しています。Appleの戦略が外れてしまった理由について、海外メディア「9to5Mac」が解説しています。
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iPhone 14 Plusが売れなかった決定的な理由とは?
近年のAppleのiPhoneに関する戦略を振り返ります。2017年は、ミドルレンジの「iPhone 8」と「iPhone 8 Plus」、そしてハイエンドの「iPhone X」が販売されました。2018年は、ミドルレンジの「iPhone XR」とハイエンドの「iPhone XS」と「iPhone XS Max」が発売されました。2019年も同様に「iPhone 11」「iPhone 11 Pro」「iPhone 11 Pro Max」が発売されています。
しかし、AppleはiPhone12が発売された2020年に「mini」シリーズを発売し、iPhoneのラインナップを4台にしました。ただ、この戦略は上手くいきませんでした。なぜなら、12 miniと12の価格差が1万円程しかなく、ユーザーの多くが画面もバッテリーも大きい通常のiPhone 12を選択したからです。
Appleは2021年にiPhone 13 miniで「mini」にもう一度チャンスを与えました。その際、前回の失敗からバッテリーをわずかに大きくもしました。しかし、それだけでは売上を伸ばすことはできませんでした。
そして2022年、Appleはminiを廃止し、iPhone 14 Pro Maxと同じ6.7インチの画面サイズを持ちながら、より低価格のiPhone 14 Plusに置き換えました。
ただ、iPhone 14 Plusも、商業的には失敗といえる結果です。アナリストのロス・ヤング氏によると、12月のPlusモデル向けディスプレイの出荷数は「0に近い」とのことです。
iPhone 14 Plusが売れないのはiPhoneが人気の日本でも同様です。BCNの「スマートフォン 月間売れ筋ランキング」(2022年12月01日~12月31日)によると、iPhone 14 Plusはトップ50にすらランクインしていません。
iPhone 14 Plusが売れない理由は、サイズではなく価格です。14 Plusは134,800円から販売されています。一方、ハイエンドである14 Proの販売価格は149,800円からです。つまり1.5万円の差でハイエンドiPhoneが購入できるということです。
また、iPhone 14の進化が中途半端という欠点もあります。iPhone 14には、Proに搭載されているA16チップが搭載されていませんし、新しい4800万画素のメインカメラも、マクロレンズもありません。当然、Dynamic Islandも搭載していません。iPhone 14の実質的な進化と言えば、日本は未対応の衛星通信機能を搭載しただけです。
お金を節約したい人は、おそらく通常のiPhone 14か、あるいはiPhone 13を買うことになるでしょう。そして、お金を払う気がある人は、おそらく1.5万円多く出してiPhone 14 Proを買うでしょう。その結果として、iPhone 14 Plusを購入する人は少なくなってしまったと「9to5Mac」は指摘しています。
Appleは「12 mini」「13 mini」「14 Plus」と3年連続で販売戦略を誤りました。「9to5Mac」が取り上げた噂によると、今後Appleは、これらのモデルの需要が低いことへの対応として、iPhone 15では「通常モデルとPlusモデルの値下げ」すら検討しているそうです。