サイバー犯罪は、2025年までに世界で10.5兆ドル(約1,300兆円)もの損失を出すと言われています。この額は2021年のドイツ、フランス、イギリスのGDPを合わせた額よりも大きいです。サイバー犯罪の多くはコンピュータウイルスに感染することによって発生します。
世界で最も危険なコンピュータウイルスといわれているのが「Pegasus(ペガサス)」というウイルスです。このPegasusがどのような危険性があるのかについて、海外YouTubeチャンネル「Tech Vision」が解説しています。
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「Pegasus」に感染するとどうなってしまうのか?
Pegasusは、イスラエルのNSOグループが作っています。このウイルスに感染するとスマートフォンやその周辺での行動を全て追跡されてしまいます。また、通話を録音したり、位置を追跡したり、カメラを使って写真やビデオを撮ったり、テキストを読んだりすることも可能です。つまり、Pegasusはほぼ全てにアクセスできるということです。
Pegasusが初めて発見されたのは2016年で、人権活動家のアフマド・マンスール氏がスマートフォンに見知らぬメッセージが届いていることに気がついたことがきっかけです。このウイルスは、未知のセキュリティ脆弱性を悪用するようにプログラムされており、Pegasusファイルがユーザーの知らない間に電話に侵入することを可能にしていました。
また、多くの人がPegasusを初めて知ったのは、2018年にAmazonのCEOであったジェフ・ベゾス氏のハッキングに使われた時です。ハッカーはベゾス氏の携帯電話に数ヶ月間アクセスし、ベゾス氏のビジネス上のプライバシーを侵害しました。
このようにPegasusは、非常に危険なウイルスです。ただしPegasusの本来の目的は、テロリストなどの活動を追跡するためのスパイウェアであり、NSOグループは主権国家の捜査機関や情報機関にしか販売していないと主張しています。とはいえ、Pegasusが悪用されない、されていないとは限りません。
Pegasusは、何度もバージョンアップを繰り返し強力になり、ソフトウェアの開発者が知らないセキュリティ上の脆弱性を悪用することで知られています。そのため、このウイルスから完全に身を守る手段は確立されておらず、どのスマホでも感染の可能性をゼロにすることはできません。
セキュリティ専門家は、Pegasusから確実に個人情報を守りたいのであれば、最善の解決策は「スマートフォンを捨てることだ」と指摘しています。あるいは、プライバシーを確保するために特定の時間帯にスマートフォンを持ち歩かないことも推奨しています。
Pegasusはユーザーにリンクを押させることで感染します。また以前は、iPhoneのFaceTimeの通話一つでインストールさせることもできたようですが、そのセキュリティ上の不具合は修正されています。しかし、Pegasusは、プログラムメーカーがまだ認識していないセキュリティの脆弱性をターゲットにしていることを忘れてはいけません。