Appleは「Apple Music」の月額を980円から1,080円に値上げしました。Apple Musicの値上げは、2015年のリリース以来初めてです。
この値上げによってApple Musicは、最大の競合であるSpotify(980円)よりも10%ほど高くなってしまいました。余裕があるはずのAppleが、なぜ競合に負けて値上げをする必要があったのでしょうか?その疑問について、Appleに詳しいYouTubeチャンネル「Apple Explained」が解説しています。
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Appleが「強気の値上げ」を敢行した理由とは?
Apple MusicがSpotifyよりも高額になったため、一部のユーザーはより手頃な価格のサービスを選択するようになるはずです。しかし、Appleはこれまで競合他社よりも高い価格を設定することに躊躇したことはありません。
スティーブ・ジョブズ自身、Appleは各市場のハイエンドで競争し、最もプレミアムな製品をプレミアムな価格で提供すべきであると述べています。この戦略を実行するからこそ、Appleは業界をリードする20〜30%の利益率を維持できています。実際、Appleはコンピュータ業界のわずか9%を占めるシェアに過ぎませんが、莫大な収益を得ています。そして、この戦略はAppleのさまざまなサービスでも実行されています。
一方、Spotifyは毎年数十億ドルの収益を上げているにもかかわらず、いまだに黒字化を達成できていません。この状態は、Appleにとって受け入れがたいことです。
だからこそ、Appleは音楽レーベルに対して、Spotifyの無料層のライセンスを更新しないよう説得してきました。Appleは、いくら広告を流しても全く利益の出ない無料の音楽ストリーミングにユーザーが慣れることを望んでいません。
Appleは広告が表示される無料のApple Musicオプションを提供したことはなく、今後も提供することはないでしょう。その代わり、スペーシャルオーディオやロスレスオーディオといった機能を提供することで、サービスの価値を高めようとしてきました。Appleは、プレミアムな体験を提供すれば、ユーザーは割高な利用料を支払うと考えています。
今回、値上げされた分は、ライセンス費用に充てられ、アーティストや作曲家により多くのお金が提供されるようになるとAppleは主張しています。しかし、ストリーミングごとにアーティストに支払う金額がどれだけ増えるかは明示されていません。
このようにAppleは、競合との価格競争を好まず、品質の高いものを提供することにこだわっています。これはAppleにとって、一部のユーザーが離れるリスクを冒してでも守りたいことなのです。