「吸血鬼とされた女性の遺骨」がポーランドの墓地で発掘されました。この女性は一体どのような人物で、なぜ吸血鬼とされたのでしょうか。これについて、海外メディア「cbsnews」が解説しています。
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「吸血鬼」とされた女性の遺骨から見えた意外な人物像
吸血鬼の歴史は深く、少なくとも4千年前の古代メソポタミア文明まで遡ります。アッシリア(現在のイラク北部)では、ラマシュトゥと呼ばれる悪魔が、ベビーベッドやお腹の中にいる赤ん坊を殺すと恐れられていました。ラマシュトゥはギリシャ神話に登場するラミア(幼い子供の血を吸う不死の怪物)の前身といわれています。
また、中国の民間伝承では、墓から蘇った死体が生者を捕食する「クエイ」という種類の吸血鬼がいるとされています。そして、17世紀に吸血鬼の噂が流行したのがポーランドです。
今回、墓地から発見された女性の遺骨は、17世紀に吸血鬼として埋葬されたと考えられています。吸血鬼だと考えられている理由は、首に鎌がかけられているからです。当時の信仰では、吸血鬼と思われる死者の蘇りを防ぐため、このような埋葬が行われていました。
遺骨の首にかけられた鎌は、まるで起き上がろうとする死者の頭を切り落とそうとしているように見えます。また、鎌を首にかける以外にも、死体を焼いたり、石で叩き割ったり、体の一部をバラバラするという方法もあったようです。
なぜこの女性は吸血鬼だと疑われたのでしょうか?その理由は、遺骨から分かる1つの特徴です。
頭蓋骨の前歯の部分を見ると、上の前歯の一本が出っ張っていることが分かります。考古学者は、当時の人々がこの身体的特徴を「魔女や吸血鬼のしるし」とみなしたのたのかもしれないと予測しています。
また、今回発見された遺骨には、他にも意外な特徴があります。それは遺骨の周りに「金糸や銀糸で織られた帽子」があったということです。このような帽子は当時の下層階級の女性には到底、手の届かないものでした。
つまりこの女性は社会的地位が高く、裕福な人物だったにも関わらず、吸血鬼だと疑われたのです。このことからも、いかに当時の人々が吸血鬼の存在を信じ、強く恐れていたのかが分かります。
なお、このような発見はポーランドでは珍しくないとのこと。2014年には、ポーランド北西部の墓地で「吸血鬼と疑われていたであろう遺骨」が6体も発見されています。
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