太陽でときおり発生する爆発は、電磁波などによる被害を地球に与えることがあります。これがいわゆる太陽嵐です。大規模な太陽嵐が地球に訪れたのは1859年で、電信柱が燃えるほど被害が発生しました。
1859年当時はそこまで技術が発展していなかったため、それほど大きな影響はありませんでした。しかしもし今、同規模の太陽嵐が発生したら被害総額はどうなるのでしょうか?これについて、海外YouTubeチャンネル「What If」が解説しています。
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太陽嵐はまず、太陽表面で起こる太陽フレアから始まります。これにより、まず地球の上層大気が巨大な電磁パルスによって破壊されます。その結果、地球と軌道上の衛星の間の電波が遮断されます。
それから、数分から数時間後、荷電粒子が地球の磁気圏を襲い始めます。この粒子が人工衛星のいくつかに衝突すると、電子機器を損傷させるでしょう。そうなれば、通信システムは故障し始めます。
さらに12時間から数日後、太陽嵐がついに地球に到達します。まず、NASAのACE衛星が太陽嵐を察知し、警告を出します。その後、約30分で太陽嵐は地球に降り注ぎ、磁気嵐を引き起こします。
もし、このタイミングで飛行機が飛んでいたら、GPSシステムが故障します。そのため、パイロットはGPS無しで飛行しなければならなくなります。
また、地球上では磁気嵐によって送電網の変圧器が溶け始めるでしょう。その結果、電力が提供できなくなり、地球は真っ暗になります。当然、パソコンやスマートフォンを充電することや、冷蔵庫やエアコンを利用することもできません。そして、クレジットカードやATMも利用できなくなるでしょう。
全米技術アカデミーによるレポートでは、1859年と同規模の太陽嵐が発生すると、2兆ドル(約300兆円)以上の損失が発生すると見積もられています。
NASAと宇宙天気予報センターは、太陽の活動を常に監視しています。3日間の予報で、もし太陽嵐が地球に向かっていると分かったら、警告を出してくれるはずです。
警告があれば変圧器を切り離したり、衛星を安全なモードに切り替えたりすることができるでしょう。しかし、太陽嵐を防ぐための手立て自体は、いまのところ存在しないのです。
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