今では少なくなりましたが、以前のAndroid機種の一部はラジオの受信機能を搭載していました。しかしiPhoneは、FMラジオ電波を受信する能力があったのにも関わらず、一度もこの機能を搭載していません。
iPhoneにFMラジオの機能が搭載されなかった理由について、Appleに詳しいYouTubeチャンネル「Apple Explained」が解説しています。
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iPhoneにラジオ機能が無い理由とは?
実はiPhone 7以前の機種には、FMラジオチューナーが搭載されていました。しかし、これはAppleが意図的に搭載したものではありません。
以前のiPhoneに使われていた無線LANとBluetoothのチップセットは、Apple自身が設計したものではなく、BROADCOMから購入したものだったのです。そして、そのメーカーは、デフォルトでラジオチューナーをチップセットに含んでいました。
Appleにとっては、そのまま利用した方が安上がりだったのです。
FMラジオチューナーを動作させるためには、FM回路を追加する必要があります。しかし、AppleはFMラジオチューナーが搭載されていたにもかかわらず、サポートしませんでした。
実際にiPhoneの回路図から、その回路が追加されていなかったことが確認されています。
なぜ、Appleはそのようなことをしたのでしょうか。Appleであれば、FMチューナーを起動させ、ラジオを聴けるようにすることなど簡単にできたはずです。
この決断は、製品に機能を追加する際のAppleの選択眼を示しています。Appleは「何ができるのか」と考えず「なぜ、そうしなければならないのか」という考えで製品を製造します。
そして、その考え方があったからこそ、すべてのiOS製品からラジオが省かれました。
Appleは、FMラジオの便利さが、Appleの基準に達していないと感じていたのです。例えば、ラジオ局の有無は、ユーザーがいる場所によって異なります。そのため、地元にお気に入りのラジオ局があったとしても、別の都市に移動するとそのラジオ局にアクセスできなくなります。
また、地方に行くと、電波の受信が不安定になります。さらに、ラジオの平均音質は1秒間に128kB/秒しかありません。これはApple Musicの256kB/秒に比べると、半分程度です。
最後に、ラジオ局には長時間の広告があります。Appleは自分たちの取り分がない広告を好みませんでした。そして、ユーザーも音楽を聴きたいだけなので広告を好むことはありません。つまり、FMラジオはAppleとユーザーに十分なメリットを与えられないということです。
そのため、Appleは初期のiPhoneに搭載されていたFMチューナーをサポートしなかっただけではなく、iPhone 7以降から完全に廃止してしまったのです。
また、オンラインで配信されているFM/AMラジオはアプリから聞くこともできるため、ますますiPhoneにラジオ機能を搭載させる必要がなくなっています。