Androidで一般的なロック解除方法の1つが「パターンロック解除」です。パターンロックは、ユーザーがあらかじめ設定したパターンをなぞることによって、デバイスのロックを解除するというものです。
パターンロック解除はパスコード入力よりも便利に感じるユーザーも少なくはありませんが、iPhoneにはこの機能が存在しません。この理由について、Appleに詳しいYouTubeチャンネル「Apple Explained」が解説しています。
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AppleがiPhoneの「パターンロック解除」を許さない訳
AppleがiOSにパターンロック解除機能を導入しない理由は、この解除方法にセキュリティ上の問題があると考えているからです。過去10年間の調査によると、パターンロック解除はデバイスを保護するためのセキュリティとしては最悪の方法だといわれています。
特に問題となっているのが「覗き見」されるというリスクです。ある実験で「ショルダーサーフィング」と呼ばれる、ロック解除方法を後ろから覗くという手法が検証されました。
検証の結果、パターンロック解除は1回の視聴で、64%の人がそのパターンを記憶し、再現できることが分かりました。さらに、数回見た場合は80%まで増加するそうです。
一方、6桁のパスコードを記憶できた人は、1回の視聴では11%で、2回の視聴でも27%にとどまったと報告されています。
セキュリティ工学のロス・アンダーソン教授は、パターンロックに比較して「パスコードはかなり有効だ」と述べています。というのも、パスコードを入力するときにどの数字を押したかを見たり覚えたりするのは、パターンのような視覚的な合図に比べると難しいからです。
さらに、パターンロック解除の場合は、画面上に正解のパターンが表示されたままになります。しかし、パスコードの場合はそのようなことはありません。
このような脆弱性があるため、Appleは自社のデバイスにパターンロック解除を搭載していないのです。
そのリスクを警告した上であれば、ユーザーにこの選択肢を与えていいように思えますが、これはAppleの哲学に反します。 Appleの目標は、最高の実用的な技術を、可能な限りシンプルな方法で提供するということです。
パターンロック解除はシンプルかもしれませんが、決してベストではありません。パターンロック解除をiOSのセキュリティオプションとして提供することで、ユーザーはデバイスをロックしておく目的を損なう脆弱性にさらされることになります。
Appleは、近くにいる人があなたのデータにアクセスできないように注意を払っているのです。パスコードだけを提供することで、Appleはユーザー体験を合理的でシンプル、そして安全なものに保っています。Apple製品が選ばれ続ける理由の1つは、ユーザーを守ろうとするこの「Appleの哲学」があるからだといってもいいでしょう。