「太陽光発電」には、巨大なソーラーパネルを、日照時間が長い場所に設置しなければならないという課題があります。
そこで目を付けられている場所が「サハラ砂漠」です。広大な未利用土地であるサハラ砂漠がもつ大きな可能性と、活用する際の課題について、海外YouTubeチャンネル「What If」が解説しています。
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サハラ砂漠での太陽光発電が秘める可能性と課題
砂漠には、わずか6時間で全人類が1年間に消費する量以上の太陽エネルギーが供給されています。そしてサハラ砂漠のたった1.2%をソーラーパネルで覆えば、全世界のエネルギー需要をまかなえるほどの電力を得ることができるといわれています。
また、思わぬ副次効果もあります。砂漠に緑を戻すことができる可能性があるのです。サハラ砂漠の砂は明るいため、光や熱を吸収せず反射して空気中に戻してしまう傾向があります。
しかし、暗いソーラーパネルで覆うと、砂はより多くの太陽光を吸収し、地温を上昇させます。暖かい空気は、大気中の温度が低いところに集まり、そこで水分が凝縮して雨となります。砂漠をソーラパネルで埋め尽くすことができれば、その地域の降雨量は2倍になり、植物も20%ほど増加するそうです。
また、発電した太陽光エネルギーを輸出することは、サハラ砂漠があるアフリカの経済にとっても大きな影響を与えるはずです。しかし、この計画には課題があります。
それは、発電した電力をどうやって届けるのかという問題です。生産されたエネルギーが行き渡る可能性が高いのはヨーロッパです。現状のアフリカの電力網はあまり信頼性が高くなく、必要な場所に送るには800〜3000kmの送電線が必要です。
長距離の送電による電力の喪失も問題ですが、さらに大きな課題が資金面です。アフリカは不安定な政府が多く、このような数十億ドル規模のプロジェクトに参加するには大きな投資リスクがあります。
例えば、プロジェクトにかかわる国の政治情勢が変化することで、プロジェクト全体が中断したり、終了したりしてしまえば、元も子もありません。
しかし、それでもこの計画を実現しようとしているのがDESERTEC財団です。同財団は、再生可能エネルギーが豊富な場所から持続可能な力を引き出し、直流高電圧送電で消費地へ送るというコンセプトのもと、世界的な再生可能エネルギー計画の策定を目指しているとのこと。
この取り組みは風力と砂漠の太陽光を利用することにより、2050年までにアフリカ地域のエネルギー需要の約3分の2を満たし、EU圏の電力需要の約17%を供給するそうです。また、雇用や収入、海水の淡水化やインフラの改善などにつながるとも期待されています。