現在では当たり前の存在となったiPhoneですが、登場以前は、市場は個性豊かな端末で溢れていました。このiPhoneの先祖とも言える携帯デバイスの歴史について、テック系メディア「9to5mac」が解説しています。
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iPhone登場以前の電卓のような携帯デバイスたち
最初のiPhoneが発売されてから15年、私たちは、この便利なデバイスがある生活に慣れ親しんできました。iPhoneは最初のスマートフォンではありませんが、一般の人たちから注目を集めた最初のスマートフォンです。
かつて、人々は日記や連絡先などの重要な情報を紙媒体で持ち歩いていました。当時、紙媒体の手帳はiPhoneに相当するものだったのです。手帳は、携帯用のリングバインダーで管理され、日記帳のレイアウトから経費表まで、さまざまな種類のデータを記入することができます。
Macintoshが発表された年である1984年に、Psion社の「Organiser」というデバイスが登場します。
そして、1986年には、より使い勝手の良い「モデルII」にアップグレードされました。このデバイスは、数字や文字が入力できる電卓のようなものです。
また、モノクロ液晶ディスプレイと、アルファベットキーボードの保護カバーが付いています。ただ、オプションのRS-232インターフェースを購入し、ケーブルでコンピューターに接続しない限り、通信はできません。
1988年には、よりポケットに入りやすい「カシオデジタルダイアリー」が発売されました。
今考えると使いにくいユーザーインターフェースですが、当時としては、このデバイスの携帯性は本当にすごいものでした。また、感圧式キーボードを採用しています。
また「Apple Newton」というAppleの携帯端末もありました。ただ、このデバイスはタッチペンによる手書きベースだったため不人気でした。
そして、1999年には「Psion 5mx」が発売されました。当時の携帯情報端末は、単独で通信することができませんでした。しかし、このデバイスは携帯電話と赤外線接続してインターネットに繋げられるという新しい機能を備えていました。
5mxの素晴らしいところは、機能的にはノートパソコンとほぼ同じことができるにもかかわらず、大きめのコートのポケットに収まるサイズであることです。また、小さなキーボードも人気でした。
初期のスマートフォンは、2001年に発売した「Nokia Communicator 9210」だといってもいいでしょう。
これは、Psion 5mxの機能を電話機に組み合わせたもので、単独でインターネットに接続できる初めてのデバイスです。見た目はただの電話ですが、中身は携帯情報端末、つまりはスマートフォンです。
キーボードは小さくなり、使いにくくなりましたが、当時としては本当に驚くべきデバイスでした。また、サイズも小型化されていてジャケットのポケットに入ります。
iPhoneが発売される6年前は、このようなデバイスで、電話をして、インターネットを利用して、音楽を聞いていました。
そして、2002年には「Handspring Treo 180」というデバイスが発売されます。
この機種は、タッチペン付きの超小型端末です。しかし、フラップを上げるとキーボードが現れます。このキーボードは最高とは言えませんでしたが、ポケットに入るサイズは魅力的でした。
2005年になると、折りたたみ式ではなくスライド式のキーボードを搭載したデバイスが登場します。
HTCが製造した「HTC Apache」という手のひらに収まる大きさのデバイスは、多くのキャリアからさまざまな名前で販売されました。
そして2007年にiPhoneが登場します。その際、スティーブ・ジョブズはこれまで人気だったデバイスを馬鹿にしたことで有名です。彼は「指を使えばいいのです。わざわざタッチペンを使う必要はない。」と言い放ちました。そして、ハードウェアキーボードも「スペースの無駄遣いだ」と指摘したのです。
ジョブズの判断が正しかったことは、他のスマートフォン企業はiPhoneのデザインを模範するようになったことが証明しています。しかし、このような初期のデバイスが道を切り開き新たな市場を作ってきたからこそ、AppleがiPhoneを発表し、革命を起こすことができたのです。