今月初めのMetaの社内全員会議でのマーク・ザッカーバーグCEOによる発言記録を、テック系メディア「The Verge」が公開しました。発言の中では、Appleとのライバル関係が今後も続くことを示唆する内容も含まれています。
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Metaが目指す「iPhoneに対するAndroid」のような立ち位置
マーク・ザッカーバーグCEOは、早ければ今年後半に初のARヘッドセットを発表するとみられるAppleに対して、Metaはよりオープンで安価な代替品として位置づけられると述べています。Metaは先日「Meta Quest 2」を2万円以上値上げしましたが、それでも30万円以上すると予測されているAppleのヘッドセットよりは、安価な位置づけとなっているはずです。
ザッカーバーグ氏はAppleとのライバル関係について、次のように述べました。
これは、哲学とアイデアの競争です。彼ら(Apple)はすべてを自分たちで行い、緊密に統合することで、より良い消費者体験を構築できると信じています。そして、我々(Meta)は、異なる企業間で専門化することで、より大きな生態系が存在できるようになると信じています。
「The Verge」は、ザッカーバーグCEOが「MetaをAppleのiOSに対するAndroidと位置づけたいようだ」と指摘しています。Metaのヘッドセットはすでに、MetaのVRアプリストアで承認されていないアプリのサイドロードを可能にしており、GoogleのAndroidがサイドロードを可能にしているのと同様です。
Facebookの社名をMetaに変更して以来、ザッカーバーグCEOはスマートフォンに次ぐものとしてメタバースを推進してきました。そしてMetaは最近、マイクロソフトやEpic Gamesなどとともに「Metaverse Open Standards Group」の立ち上げに協力しています。
対するAppleは、まだAR・VRヘッドセットの存在を公に明らかにしてはいませんが、すでのその兆しはみえています。テック系メディア「MacRumors」によれば、Appleは2023年にリリースされる予定の拡張現実ヘッドセットと、その後に登場するスマートな拡張現実メガネを含む、少なくとも2つのARプロジェクトに取り組んでいるとのこと。
Appleのアナリストであるミンチー・クオ氏や経済紙記者のマーク・ガーマン氏といった信頼できる情報源によれば、ヘッドセットの発売時期が2023年、ARメガネは2024年か2025年に続くと見ているようです。
AppleとMetaは以前から対立の姿勢をみせています。Metaは現在、アプリのトラッキング許可をめぐる仕様変更により、多くの広告収入を損失しています。ザッカーバーグCEOの発言は、Appleの支配下にあるスマートフォン市場の外でも、この2つの大手テック企業が今後何年も戦い続けることになるだろうということを示唆しています。