「ゲーム性能」「電力消費量」などの違いは、どれくらいあるのか?
ゲームも含めなければ、これは公平な比較とは言えません。しかし、ゲームをプレイしたいなら、MacよりもWindowsのゲーミングPCを買えばいいのは明らかです。
しかし、ハードウェアの性能という意味では、M1 Max搭載「MacBook Pro」はゲームにかなり適しています。まずは、GFX Benchで比較してみましょう。
M1 MaxでMetal APIを選択し、RTX 3080でDirectX 12を選択した場合、M1 Maxは、ごくわずかですが、FPS出力でRTX 3080に勝ちました。
これは、Metal上で動作するように最適化された場合、M1 Maxが実際にはかなり高性能なチップであることを示しています。ただ、現在では、Metalをサポートしているゲームは、ごくわずかな割合しかありません。
また、ゲーム開発者は、現在Appleシリコン向けのゲームをサポートしたり、開発したりするモチベーションをほとんど持っていません。なぜなら、ゲーム用のプラットフォームとしては、依然としてWindowsが圧倒的に人気があるからです。
そのためユーザーは、OpenGLを使うしかありません。ただOpenGLはWindowsではよく動きますが、macOSやAppleシリコンでは、よく動きません。
現在、一部のOpenGLゲームはAppleシリコン上で動作しますが、サポートはされていません。そのため、Rosetta 2上で実行されています。
そこで、実際のゲームの例を見てみましょう。「Tomb Raider」は、実際にはMetalをサポートしているため、ベストシナリオと言えるでしょう。
1080pでは、両機種の画面の解像度が異なるため、すべてのテストは画面外で行われました。その結果、RTX 3080はかなり高いFPSスコアを達成しました。
解像度を4Kに上げると、両者の差はさらに広がりました。ここでも、RTX 3080が優位に立っています。
これは、MacBookが4K Ultra設定で適切なトリプルAランクのゲームをプレイした場合、30 FPSを達成するということです。解像度を1080pに下げれば、90 FPSのウルトラ設定になり、これは決して悪いことではありません。特にシングルプレイヤー用のゲームでは、非常に高いプレイアビリティを発揮します。
つまり、4Kウルトラ設定で、トリプルAランクのゲームをMacBookのRosetta 2でエミュレートしているということです。
しかし、1080pの「CS:GO」などのゲームをしてみると、奇妙な結果になります。MacBook上の「CS:GO」が意図的に約100FPSに制限されているのです。これはOpenGLを使用した「CS:GO」が原因です。
従来は1秒間に何百も何千もフレームが表示されるゲームで、100 FPS程度にロックされているのは、あまり良いことではありません。
もちろん、画面のリフレッシュレートや応答時間など、この2台のノートパソコンには他にも大きな違いがあります。しかし、今回はFPSのような性能の違いを純粋に比較してみました。
さて、この2つのデバイスの性能の違いをいくつか見てきましたが、M1 Maxとは異なり、高性能なゲーミングノートPCには注意事項があります。
それは、ファンの騒音です。メーカーに関係なく、RTXノートPCは負荷がかかると飛行機が離陸するような音がします。
M1 Maxを搭載したMacBookのファンは無音ではありませんが、音はかなり小さくなっています。また、ファンは必要なときまで動きません。
RTXを搭載したノートパソコンは、RyzenのCPUからではなく、GPUから多くの熱が発生します。そして、その周りの空気を暖めることになります。この熱の多くは、ノートパソコンの骨組みに直接伝わり、加熱されます。
そして最後に、RTXの最大の欠点は、電気を使いすぎるところです。
「Tomb Raider」でベンチマークを実施した際の、両機種の総電力消費量を比較しました。
M1 Maxは90Wを消費したのに対し、Legionは270Wという途方もない電力を必要としました。このため、M1 Maxはワット数だけで、RTX 3080よりも3倍も効率が良いことになります。
また、RTXノートパソコンを充電器から外し、バッテリーだけでベンチマークを実行してみると、すべての数値が悪くなることがわかります。
つまり、RTXノートパソコンの内蔵バッテリーは、100%のパフォーマンスで動作するために必要なワット数を提供することが出来ないということです。ここがM1 Maxとの違いです。
ノートパソコンは、外出先で使用するように設計されています。つまり、電気やコンセントのない場所で使うことが多いということです。
M1 MaxがRAW BlenderやCinema 4Dのパフォーマンスで不十分でも、バッテリー駆動時にチップ性能を最大限発揮できることが、RTXノートパソコンよりも好ましいと考えるユーザーもいます。
つまり、M1 Maxはパワフルであり、状況やワークフローによっては、フルスペックのRTX 3080ノートパソコンよりも使い勝手がいいということです。
M1 Maxは、いくつかの重要な分野でソフトウェアや最適化のサポートが不足しています。しかし、ビデオ編集やクリエイティブなワークフロー、あるいはMetal APIに完全に最適化されたゲームなどでは、RTX 3080ノートパソコンの性能と同等、あるいはそれを超えることもあります。
価格、OSなど、他のすべての要素を無視して、パフォーマンスの観点でRyzenとRTX 3080を搭載したノートパソコンを選ぶべき理由は3点だけあると「Created Tech」は述べています。
1つ目は、3Dモデリングのような特定のワークフローやAAAランクのゲームをプレイする性能が必要な場合です。2つ目は、ずっと充電器をつけていても構わない場合です。3つ目は、Windows OSが提供する幅広い互換性が必要な場合です。
しかし、少なくとも性能面では、M1 Maxは非常に優秀です。今後さらに最適化や性能向上が進めば、これらの弱点も少なくなっていくことでしょう。