Appleの史上最もパワフルなノートパソコンであるM1 Max搭載「MacBook Pro」は、WindowsのパワフルなゲーミングノートPCと比べると、どれほどの性能差があるのでしょうか?
海外YouTubeチャンネル「Created Tech」が「MacBook Pro」と最強ゲーミングノートPC「Lenovo Legion 7」を徹底比較しています。
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「Adobeソフトでの作業」「ビデオ編集」などでの性能差は?
現在、Appleの史上最もパワフルなノートパソコンは、M1 Maxを搭載した16インチの「MacBook Pro」です。
しかしこのMacは「RTX 3080」を搭載したノートパソコンである「Lenovo Legion 7」より優秀なのでしょうか。
今回「Created Tech」は、「MacBook Pro」と「Lenovo Legion 7」の性能を、ゲームやBlenderなどの3Dモデリング、ビデオ編集、Adobeアプリでの作業などの点で比較しています。
Legion 7は、実はMacBookと多くの共通点があります。例えば、どちらも16インチのノートパソコンであるということです。そして、両機種が業界の頂点に立つ存在でもあります。
つまり、M1 Maxは最もパワフルなAppleのノートパソコンであり、Legion 7は最もパワフルなWindowsのノートパソコンの1つということです。
ただ、両機種は異なる設計で、OS、バッテリー性能も違います。また、Lenovo 7は、165ワットという膨大な電力制限を持っており、これはノートパソコンでは最高のものです。
Lenovo 7も例に違わず、RTX搭載のノートパソコンは、充電器に接続せずにバッテリーで実行すると、大幅に性能が低下します。しかし、ユーザーが気になることは、純粋な性能の違いでしょう。
M1 Maxは、Ryzen 5900HXとRTX 3080を搭載したLenovo 7と比べると、どのような違いがあるのでしょうか。
では、CPUのベンチマークから比較してみます。Cinebenchでテストをしたところ、両機種のマルチコアのスコアはほぼ同等で、RTX 3080がわずかにリードしている程度です。
シングルコアのスコアでは、M1 Maxがわずかに上回っています。つまり、ワークフローが個々のコアの速度に大きく依存する場合は、M1 Maxが勝るかもしれないということです。例えば、Photoshopで作業する場合などでしょう。
PugetBenchのベンチマークを使用して、After Effectsのワークフロー全般をテストしたところ、RTX 3080がわずかに勝ちました。ただし動画の時点では、After EffectsをはじめとするAdobeのアプリケーションは、まだAppleシリコンに最適化されていません。
そして、実際のプロジェクトに目を向けると、2Dアニメーションの処理では、意外なことに、M1 Maxは約30秒の差で勝っています。
この差の要因は、M1 Maxが1秒間に400GBの速度でDDR5ユニファイドメモリにアクセスしているからだと考えられています。
また、After EffectsはRAMを大量に消費します。そのため、超高速で最適化されたRAMを実際に供給できれば、ユーザーの多くは喜ぶでしょう。
Legion 7のメモリはそれほど高速ではなく、DDR4スペクトルより低くスコアリングされています。Lightroom Classicでも同じ結果が出ています。また、Premiere Proではさらに顕著に結果がでます。
M1 MaxでAdobeアプリケーションを実行すると、ビデオとRAMに関連する処理は、より良い結果を得られる可能性が高いようです。
では、ビデオ編集についても比較してみましょう。
このテストでは、DaVinci Resolve Studioを使用しています。DaVinci Resolve Studioは、最新のバージョンでApple Siliconを搭載したMacに最適化されています。
また、Resolveのスタジオバージョンを使用するため、Legion 7はハードウェアアクセラレーションが利用可能です。マルチカムのプロジェクトでは、3つの4K映像が問題なく再生されています。
クリップにはカラーコレクションが適用されており、マルチカムの上には4K、10bit 4:2:2 h264 Bロールのレイヤーが追加されています。
この30分のプロジェクトを4Kとh264でレンダリングすると、M1 Maxチップに内蔵されたビデオハードウェアのエンコーダーとデコーダーにより、素晴らしい結果を得ることができます。
Resolveはサードパーティ製アプリケーションですが、これらのデコーダを使用することができます。その結果、M1 MaxはRTX 3080を上回る性能を発揮しました。
次に、Sony a7S IIIの4K、120 FPSのハードコアな映像で検証します。この映像を撮影するためには、専用のCFexpress Type Aカードを数百ドルかけて購入する必要があります。
この映像をタイムラインにインポートしてスクラブしたところ、M1 MaxはLegion 7に比べてドロップフレームが少なく、スムーズに処理することができました。この5分間の映像全体にスタビライズをかけると、やはりM1 Maxが優位に立ちます。
また、同じ5分間のクリップを4K 120 FPS h264でレンダリングすると、M1 Maxの勝利となります。
ただ、8K RED RAW映像に切り替えると、今度は少し違った結果になりました。スクラビングとリアルタイム再生は両デバイスともほぼ同じで、少しぎこちない感じです。しかし、レンダリングになるとかなり大きな違いが見られます。
2分間の8K RED RAWプロジェクトをDNxHR 444 10bitでレンダリングしたところ、RTX 3080がM1 Maxを上回りました。これは、M1 Maxがハードウェアビデオエンコーダとデコーダの利点を生かすことが出来なかったためです。なぜなら、RED RAW映像とDNX HRコーデックが非互換だからです。
Blenderの3.1 Alphaバージョンで検証をします。ここからはAppleシリコンの欠点が見えてきます。
このバージョンでは、M1 MaxでレンダリングするためのMetal GPUサポートが導入されています。しかし、M1 Maxにとっては、厳しい結果になりました。
GPUを使用するすべてのEVとサイクルレンダリングにおいて、RTX 3080はM1 Maxを大きく上回りました。
これは、M1 Maxが単純に最適化されており、さらに、レンダリング時間を短縮するためにNVIDIAのGPUを使用していることが要因だと考えられています。
そして、PartyTugのようなシーンでは、RTX 3080はM1 Maxの2倍の速度です。
また、複雑なシーンでは、6倍の差が出ます。
サイクルレンダラーをCPUだけに限定し、GPUを無効にすると、より合理的な結果が得られますが、GPUを使った方がはるかに速くレンダリングできるため、これは例としてはあまり良いものではありません。
また、Cinema 4D Redshiftのようなソフトウェアでも、同じようなパフォーマンスの差が見られます。
ただ、これらの3Dモデリングプログラムは、まだApple Siliconを完全にはサポートしていません。
そして、GPUのサポートはBlenderの3.1 Alphaバージョンで追加されたばかりのため、まだAppleシリコンの本当の性能を知るには至っていません。
しかし、今のところ、そして短・中期的な将来においても、Appleシリコンが RTX3080 GPUに近づくことはないでしょう。