警察が「パイレート・ベイ」を潰す為にとった行動とは?
創設者たちは、自分たちがやっていることの本質から、当局とのトラブルを常に想定していました。しかし、警察の反撃がこれほど強力だとは思っていなかったでしょう。
2006年5月31日、65人の警察官がパイレート・ベイのデータセンターに踏み込み、サーバーを停止させました。創設者たちは誰も逮捕されませんでしたが、サイトを再開してはならないことが明確にされました。しかし、創設者たちはこの要求を無視しました。彼らはオランダの不特定の場所に新しいサーバーを用意し、わずか3日でパイレート・ベイを再開させたのです。
この出来事は、ウェブサイトを閉鎖させなかっただけでなく、実際にウェブサイトを利用する人を増やすことにつながりました。また、警察の捜査は国際的なニュースとなり「ニューヨーク・タイムズ」にも記事が掲載されました。
あるハッカーが、スウェーデンの国家警察のウェブサイト「Polisen.se」をハッキングし、ウェブサイトをダウンさせました。そして、警察サイトが復旧したとたんに、政府サイトがダウンしてしまったのです。この行為は、明らかに無責任極まりないものですが、パイレート・ベイを攻撃したことに対する反撃です。
捜査の直後、パイレート・ベイは世界で465番目にアクセス数の多いウェブサイトに成長し、弁護士の中には創設者の側に立つ者もいました。この弁護士たちは、警察が捜査中に目につくすべてのサーバーを不当に押収したと非難しました。なぜなら、押収されたサーバーは、パイレート・ベイの運営だけではなく、何十もの小規模なウェブサイトやビジネスの運営も担っていたからです。
つまり、警察は1つのウェブサイトを取り上げるという名目で、これらすべての企業を不当に扱ったということです。また、弁護士らは、スウェーデン警察がそもそも家宅捜索を行う正当な理由がなかったと主張しました。さらに、スウェーデン政府は法と秩序を守る代わりにアメリカの政治的圧力に屈したとも非難しました。
もちろん、政府はこれを強く否定しました。しかし、政府はこの予想外のネガティブなPRに悪夢を見ることになりました。当初、政府や警察は、海賊と戦うヒーローとして歓迎されていましたが、逆に悪役にされてしまったのです。
実は、ほとんどの人がメディアやソフトウェアを海賊版で購入した経験があります。統計的には、59%のユーザーが海賊版ビデオのダウンロードやストリーミングが違法であることを認識しているにもかかわらず、オンラインユーザーの52%が海賊版ビデオを視聴したことがあるといわれています。しかも、それは認めた人たちだけの割合です。
そのため、パイレート・ベイが閉鎖されたというニュースが流れたとき、一般の人が飛び上がって興奮するようなことはありませんでした。現実的な反応は、「今のうちは、問題ないのではないか?」というものだったのでしょう。そう考えると、スウェーデン政府の行動をわざわざ支持する人は、ごく一部に過ぎなかったことになります。
そして、多くの国民の支持がなければ、政府は再びパイレート・ベイを襲撃することはできません。そうすれば、パイレート・ベイの人気がさらに高まります。そこで、政府や警察は創設者を取り押さえることで、根本的な解決を図ることにしたのです。
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