宇宙の謎物質「ダークマター」は本当に存在するのか?

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現在の宇宙科学でも「ダークマター」と「ダークエネルギー」に関しては、未解明のことが多いといわれています。この謎の物質に関する最近の研究の過程を、海外YouTubeチャンネル「Destiny」が解説しています。




*Category:テクノロジー Technology|*Source:Destiny,wikipedia(1),(2)

「ダークマター」の存在を確かめるために実施された研究とは?


私たちが知っていることは、銀河を引き寄せてつなぎとめるダークマターという力が働いていることと、ダークエネルギーが同時に宇宙を加速していることです。しかし、これらの謎の粒子はどちらも検出されていません。

現在、ある科学者はダークマターがブラックホールの縁で渦巻いているかもしれないと考え、また別の物理学者はダークエネルギーを地球で発見できると信じています。ただ、ダークエネルギーは結局のところ実在しないかもしれないと言う人もいます。果たしてそれは実際のところ、どうなのでしょうか。

もし物理学者が最も欲しいもののリストを作ったとしたら、ダークマターが一番上になるでしょう。なぜならダークマターとは、宇宙のいたるところに存在するはずの、目に見えない理論上の物質だからです。宇宙は、わずか5%が通常の物質で、68%がダークエネルギー、残りの27%がダークマターと考えられています。

ダークマターとダークエネルギーは、宇宙の陰と陽の関係なのです。ダークマターは重力で引きつける力を、ダークエネルギーは反発する力を発生させています。

ただ、驚くべきことは、この理論上の粒子が宇宙の96%を占めているにもかかわらず、そのどちらも見ることができないことです。なぜ見ることができないかというと、ダークマターやダークエネルギーが、光を発生させたり、吸収したり、反射したりしないからです。つまり電磁気的な力との相互作用がないということです。

では、ダークマターが目に見えないのであれば、科学者はどうやってその存在を知ることができるのでしょうか。ダークマターが存在する唯一の手がかりは、星や銀河など宇宙の天体に与える重力の効果です。

ダークマターとは、木に吹く風と同じようなものだと考えてください。木の葉が動いているのが見えるから風が吹いていることがわかるのであって、風を見ることはできません。

NASAの研究者は、ある星団がバリオン物質の量に基づいて発生するよりも、大きな重力を及ぼしていることを観察しました。NASAは、これらの観測はダークマターがなければ意味をなさないと主張しています。

実際、ダークマターの存在を示す最初の手がかりは、1930年代にフリッツ・ツヴィッキーという天文学者がコマ星団を構成する遠方の銀河の群れを見ていて、非常に奇妙なことに気づいた時です。その奇妙なこととは、銀河が高速で動いていたのです。このことから、ツヴィッキーは、銀河の間に何か見えない物質が隠れていて、それが重力で銀河団を結びつけているに違いないと考えました。

また、1970年代には、別の天文学者が同じような観測を行いました。ベラ・ルービンは、渦巻き型銀河の周りを予想以上の速さで星が回っていることを発見し、自分たちが破砕されないように、何か見えない力が銀河を支えているに違いないと考えました。そしてそれは、おそらくダークマターからの重力だと考えました。

それ以来、多くの研究者がダークマターの存在を確信し、ダークマターを説明するためにさまざまな種類の粒子が提案されてきました。ただ、これまでのところ、今までの実験では候補が除外されただけで、ダークマターについては、まだ手探り状態です。

しかし今、新しい研究によれば、ダークマターはまったく存在しないかもしれないと考えられています。

その研究では、科学者たちは遠くの星の軌道速度に小さな食い違いがあることを発見し、重力の影響がほとんどないことを示しました。そして、銀河団と既知の銀河の両方の重力の強さの背後にあるのは、ダークマターの雲ではなく、我々の重力に対する不十分な理解である可能性を示しています。

そして、ダークマターのシナリオにブレーキをかけるようなことが、もうひとつあります。

天文学者は、ダークマターだと考えられているものの痕跡がない銀河を発見しました。国際的な天文学者チームは「AGC 114905」という銀河を、最新鋭の望遠鏡を使って40時間にわたる詳細な測定を行いました。その結果、ダークマターがほとんどない銀河が6つも見つかったのです。

「AGC 114905」は約2億5000万光年の距離にあり、我々の天の川銀河とほぼ同じ大きさのため、光度から超拡散矮小銀河に分類されます。しかし、「AGC 114905」に含まれている星の数は、天の川銀河と比べて1000倍も少ないようです。

超微分散矮小銀河を含むすべての銀河は、ダークマターによってつなぎ合わされて初めて存在しうるというのが、一般的な考え方です。

銀河の中心からのガスの距離をX軸に、ガスの回転速度をY軸にして測定することによって、ダークマターを明らかにする標準的な方法があります。研究チームはその方法を活用して「AGC 114905」のガスの運動が通常の物質で説明できることを突き止めたのです。

つまり「AGC 114905」にはダークマターが無い可能性があるということです。また、ダークマターがないことを説明できる理由がいくつかあります。

例えば、この銀河は、近くにある別の大きな銀河によってダークマターが剥ぎ取られた可能性があります。しかし、この場合、近くに銀河がないことが問題です。

もうひとつは、研究者たちが銀河を観測していると考えている角度です。これがダークマター説の終わりを示すかもしれません。

しかし、この説以外にも新しい理論が存在します。

重力波や、宇宙の大激変によって引き起こされる時空の波紋の探索は、ボソンクラウドと呼ばれる宇宙の大きな謎を解明する必要があります。その解明がダークマターの存在を確認するために役立つ可能性があるのです。

研究者たちは現在、レーザー干渉計重力波観測装置、先進的なVirgo検出器、神岡重力波検出器などの装置を使って、数十億光年先まで重力波を検出し、ボソンクラウドの可能性を探っています。ボゾンクラウドは、検出がほとんど不可能な超軽量の素粒子でできており、ダークマターの源となる可能性が指摘されています。

研究者たちは、高速で回転するブラックホールの周りを回るボソンクラウドが発生させる重力波を探索することで、これらの粒子を調べようとしています。

これらの粒子は、もし存在するとすれば、質量が極めて小さく、他の物質とほとんど相互作用しません。これがダークマターがもつと思われる重要な性質のひとつです。このような探索をすることで、ボソン粒子を突き止め、ダークマターの暗号を解くことができるかもしれません。

しかし、宇宙で最も奇妙な物質の1つであるダークマターが、つい最近さらに謎を深めています。


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