Amazonは今週の公式ブログで、ドローンによる配送サービス「Amazon Prime Air」を開始する計画について詳しく説明してます。同ブログ記事によると、Amazonは最初、米ロックフォードでドローン配送サービスを開始するとのこと。
*Category:
安全性や積載量が優れたAmazonの配送ドローン
同社は連邦航空局(FAA)とロックフォード当局と連携し、認可を得ているとしています。まだいくつかの規制上の問題はあるようですが、このニュースを取り上げた海外メディア「Ars techninica」は、2022年末までにサービスが開始されると予測しています。
Amazonによれば、ロックフォードの住民はドローン配達を無料で申し込むことができ、「数千の日用品」がドローン配送の対象になるそうです。配達時間については、確約はしていないものの「60分以内を目指している」としています。
このドローンの積載量は、5ポンド(約2.2kg)を目標として取り組まれています。海外経済紙「Bloomberg」によれば、これはAmazonの配送の85%に相当するとのこと。競合他社は2〜3.5ポンドが一般的で、5ポンドという積載量は決して少なくはありません。
「Amazon Prime Air」が他のドローン配送サービスと異なる点は、パラシュートなどを使用するのではなく、荷物を降ろす前に1.8mほどの高さまで降りてくることです。六角形の形状が特徴である同社のドローン「MK27-2」は、安定性が高く、高周波の騒音も最小限に抑えられているとのこと。
また、Amazonのドローンは「センス・アンド・アボイド・システム」で、カメラセンサーを含む物体検出のためのさまざまなアプローチを用いて、煙突やペット、他の航空機などあらゆるものを回避するそうです。
◇ Amazonの配送ドローン開発には困難も
ただし、競合他社には一歩で遅れていることも現実です。すでに米ウォルマートとAlphabetは、Amazonに先んじてドローン配送を開始しています。AlphabetのWingは、4月にテキサス州でドローン配送サービスを開始、ウォルマートは11月にアーカンソー州でドローン配送サービスを開始し、今年中に6州、34拠点に拡大する計画を発表しています。
「Ars technica」によれば、Amazon創業者のジェフ・ベゾスは、アマゾンのドローン配送は2018年ごろまでに開始できると宣言していたそうです。しかしAmazonはコスト、スピード、スケーラビリティをめぐる課題に苦戦し、このような大きな遅れを招いたとのこと。
また、ドローンのテストフライトで起きた複数の事故もサービス開始を遅らせる原因となったようです。「Bloomberg」によると、試験場では昨年の4ヵ月間に5件の事故があったとのこと。テストでの失敗は限界を見極めるために避けられないものですが、これらはAmazonが公開テスト用に配備することを望んでいた期待だったそうです。
昨年5月には、ドローンのプロペラが外れ、他のモーターが稼働している状態で機体が転倒、逆さまに墜落する事故が発生しました。また6月には、ドローンのモーターが停止して墜落し、25エーカーを焦がす火災となる事故も発生しています。
◇ 配送ドローンの日本国内への導入は?
無人航空機を配送に活かそうという動きは日本でも見られます。2022年4月にはヤマトホールディングスがサイクロテック社と協力して開発している物流eVTOL機の理論研究の成果を発表。将来導入が予想される物流eVTOL機のイメージも公開しています。
日本ではドローンの規制の厳しいため、このような配送サービスが普及するには時間がかかりそうです。しかしネット通販の需要などから物流への負担が増えている今、配送を効率良く行えるドローンへの注目度は高まっています。
なお経済産業省のロードマップでは、物流におけるドローンの活用が明記されています。これによれば、2022年度以降、まずは陸上輸送が困難な地域から都市部へと配送を展開していくとのこと。離島などの地域を変わり期に、ドローン輸送が日本で普及する日もそう遠くなさそうです。