一見なんの変哲もないように見えるこの夕焼けの画像。しかし動画投稿者のアルン・マイニ氏は「絶対に壁紙に設定してはいけない」と警告しています。
この画像をAndroid端末の壁紙にすると、謎のバグやフリーズが発生するのです。その原因は、あまりにも奇跡的な偶然が重なったものでした。
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多くのAndroid端末を破壊したたった1つの画像
この壁紙を設定した多くのユーザーのスマホはフリーズしたり、おかしな画面が表示されたりする謎のバグに遭遇しました。多くの場合は、完全に初期化しない限り治らない致命的な症状です。
このようにスマホが破壊されてしまう条件はいくつかあります。まず1つは、症状はメーカーによって異なるということ。2つ目に、スクリーンショットしたものではなく、直接ダウンロードしたものであること。
3つ目に特定のSNSからダウンロードしたものであること。例えばWeiboのようなSNSにアップロードした後にダウンロードすると、色味が代わり、スマホを壊す効果はなくなります。しかし、Twitterでは色味が変わらず、壁紙にするとスマホをバグらせます。
画像の解像度は1440×2560、Android端末では一般的なサイズです。では、この画像は何らかのマルウェアなのでしょうか?
マイニ氏がGoogleで調べると、画像はもともと「HDQwalls」というサイトにあったものだと分かりました。このjpg画像のプロファイルを見ると、ニコンD850で撮影されたもので、カラープロファイルはProPhoto RGBとなっています。
この画像をそのままGalaxy S20 Ultraの壁紙に適用すると……
見事にスマホが壊れました。変な画面に切り替わり、再起動してもロック画面で点灯を繰り返したりと、おかしな挙動を繰り返します。どうやらこの画像自体に問題があったようです。
しかし、画像自体はなにも問題のないものです。では一体何が起こったのでしょうか?この原因を知るためには、色について少し知る必要がある、とマイニ氏はいいます。
この図は人間が認識できる全ての色を表したグラフです。そしてこの中の三角形は、sRGBと呼ばれるものです。
実は、ほとんどのAndroid端末が認識できる色は、このsRGBの範囲だけです。それに対して、この画像のプロファイルであるProPhoto RGBはこれ。
WeiboはProPhoto RGBに対応していないため、画像は自動的にsRGBに変換されました。そのため、色味が変わったのです。しかし、Android端末では、この画像のたった1ピクセルの変換が出来ず、フリーズなどの問題を起こしてしまいます。
これは、Googleが画像の輝度を計算して変換するときに、「小数点を切り上げる」仕組みだったことが原因となっています。この輝度の限界値は「255」なのですが、この特定のピクセルは小数点切り上げにより「256」とオーバーしてしまうのです。
他の画像ではほとんどこのようなエラーは起きなかったため、この問題は長らく放置されていました。つまりこれは、奇跡的にAndroidがエラーを起こすピクセルが「撮れてしまった」結果なのです。なおこの問題は、Android 11以降では解決されているはずですが、試す際は自己責任でお願いします。