テキサス州で起きた銃乱射事件以降、銃規制の強化を求める声が高まっています。これについて、米ニュース放送局「MSNBC」のクリス・ヘイズ氏が、アメリカ国内における銃に関する深刻な現状を、様々なグラフを交え解説しています。
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自動車より多いアメリカの銃の生産数
アメリカにおける銃による殺人は、他のどの先進国よりも高いのが現状です。その数は、カナダの約6倍、イスラエルの14倍にも当たります。
同氏によれば、2015年の調査では、世界の人口の4%であるにもかかわらず、アメリカは銃乱射事件の31%を起こしているとのこと。
米国より銃による殺人が多い世界の国々を見ると、エルサルバドル、ベネズエラ、ホンジュラスなど、治安があまり良くない発展途上国がほとんどであることが分かります。
しかし、銃の所持数でみると、アメリカは群を抜いて世界トップです。
アメリカでは、100人あたり120丁の銃が所持されています。第2位のイエメンは内戦の渦中にある国ですが、100人あたりの銃保有数は53丁で、アメリカの半分以下となっています。
この状況は、近年ますます悪化しています。
アルコール・タバコ・火器及び爆発物取締局(ATF)からの新しいレポートによると、米国で製造される銃の数は急増しています。ヘイズ氏によれば、2020年には2000年の約3倍の銃が製造されており、現在では自動車よりも多くの銃がこの国で製造されているとのこと。
銃は現在、アメリカにおける子供や若者の最も多い死因となっています。以下のグラフは、アメリカにおける子供や若者の死因のトップ2である、銃(青)と交通事故(オレンジ)を比較したものです。
何十年もの間、最も多い死因は交通事故でしたが、これはチャイルドシートなどの規制の強化により、減少しています。しかし銃による被害はむしろ増加し、2017年には交通事故を超えています。
クリス・ヘイズ氏は、他の国とは違い、アメリカはこのような銃乱射事件が一度で終わらない例外だと主張しています。1996年にスコットランドで起こった銃乱射事件の後、イギリス政府はほとんどの拳銃を禁止する法案を可決しました。
他の国でも、同じようなことが起こりました。英報道機関「BBC」によれば、オーストラリアでは、ほぼすべての自動および半自動小銃が禁止された全国銃器協定の後、銃関連の死者は大幅に減少したとのこと。
米ニュースサイト「CNN」によれば、アメリカ合衆国下院司法委員会は早ければ木曜日に広範な銃規制法案を採決する予定です。一方カナダは今回の事件を受け、銃の所有凍結、売買を禁止する法案の導入が進められています。