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イーロン・マスクのような世界的な大富豪は、潤沢な資産がありながらも常に多額の「借金」を負っています。今回のTwitter買収でも、イーロン・マスクは買収金額の半分を借りて支払う予定です。
なぜ彼のような億万長者が借金をするのかについて、海外YouTubeチャンネル「Logically Answered」が解説をしています。
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イーロン・マスクがTwitter買収のために借金をした理由とは?
通常、私たち一般人にとって経済的な最優先事項のひとつは、借金から解放されることです。
つまり学生ローン、自動車ローン、住宅ローンなどは、できるだけ早く完済して、支払う利息を最小限に抑えたいと考えます。
お金があれば、ほとんどの人は借金をすることなく生活できます。しかし世界で最も裕福な人々の中には、世界で最も多くの借金を抱えている人もいるのです。
皆さんはイーロン・マスクが440億ドル(約5兆6千億円)でtwitterを買収する話を聞いたことがあると思います。
イーロンの純資産が現在約2,190億ドル(約27兆円)であることを考えると、現金で支払うことも不可能ではありません。
しかし、彼はかなりの額の借金をするつもりでいます。
現在の計画では、Twitterへの貸付として130億ドル(約1兆7千万円)、テスラの株式を担保として125億ドル約1兆6千万円の借金をする予定です。つまり合計で255億ドル(約3兆2千万円)の借金をするということです。
ただイーロンは、金融機関が投資家に不足の証拠金を求めるマージンコールのリスクを最小限に抑えるために、取引完了までにもっと多くの現金を支払う可能性もあります。
Twitterの買収をするイーロンだけに限らず、億万長者に対する根本的な疑問があります。
億万長者の多くは、自宅やヨット、プライベートジェットなどを購入するために借金をしています。しかし、これらの購入にかかる資金は彼らの純資産のごく一部なのです。
イーロン自身も、家をすべて売ってテキサスに引っ越すことを決めるまで、5つの住宅ローンで合計6,100万ドル(約78億円)の借金を抱えていました。
なぜ億万長者は自ら進んで多額の借金をするのでしょうか。
大富豪が現金払いではなく借金をする主な理由の1つは、リターンを最大化するためです。
彼らはすでにお金持ちなので、自分のお金から大きなリターンを得る方法をよく知っています。それは、商業用不動産への投資、株式への投資、あるいは別のビジネスへの投資などです。
例えば、テスラであれば、2010年に上場して以来、株価は4.15ドル(約530円)から現在の870ドル(約11万円)にまで成長しました。これは12年間で200倍、年率にすると54.585%という驚異的な数字です。
しかも、これはテスラが上場企業として生み出した収益に過ぎません。
通常、利益の大部分は株式公開前に得られるものです。つまり、イーロンがテスラ株を売って、Twitterを買うことで経済的なメリットを得るには、Twitterが年間54.585%以上の収益を確実に上げる必要があります。
もちろん、テスラが永遠にこのペースで成長するわけではありませんが、要点はこういうことです。
つまり、Twitterが価値ある投資となるには、Teslaの年間リターンを常に上回る必要があるのです。しかし、実際のところ、これはあまりあり得ないことです。
まず第一に、イーロンは金儲けのためにTwitterを買っていません。彼は、社会的な理由と、変化を起こしたいという気持ちで買っているように見えます。
そのため、イーロンのリーダーシップでTwitterが自然に1000億ドルまで成長することはあっても、Facebookのようになって時価総額が1兆ドルになるようなことはほとんどあり得ないのです。
イーロンの立場からすれば、Twitterが単なるサイドプロジェクトであるため、彼が結ぶ資本を最小限に抑えることは理にかなっています。
これと同じ原理が、他の買い物にも当てはまります。
例えば、イーロンの6,100万ドル(約78億円)の住宅ローンは、2019年初頭に組まれました。
当時、テスラは生産地獄から立ち直り始めたばかりで、まだ倒産寸前でした。
イーロンが住宅ローンを組んだ2019年6月頃のテスラ株は、1株あたり36ドル(約4,600円)にまで急落していました。
もし、イーロンが住宅ローンを組む代わりに、6100万ドル(約78億円)分のテスラ株を売却した現金で不動産の支払いに充てることにしたらどうだったでしょうか?
この2019年の安値以降、テスラ株は23倍近くまで成長しているため、テスラ株で持っていたら6100万ドル(約78億円)は、14億300万ドル(約18,00億円)の価値になっています。
つまり、仮に不動産が1億ドル(約120億円)に値上がりしたと仮定しても、イーロンは13億ドル(約16,000億円)を手元に残していたということになります。しかし、現金で払った場合は、その将来の成長で儲けることができません。
この理論は、プライベートジェットやヨットのような減価償却資産についての話であれば、なおさら適切なものとなります。
このような購入品は、長期間所有していれば、基本的にその価値の70〜80%が失われることが保証されているので、購入費用を前払いする意味はないのです。
前払いするのは、ある種の安心感を得るためで、リターンを考えると借金をしたほうが絶対に得なのです。
リターンを最大化することはもちろんですが、億万長者が借金をする重要な理由の1つは、彼らに選択の余地がないからです。
彼らは書類上では数百億、数千億の資産を持っているかもしれませんが、その大部分は単なる紙資産であり、完全に流動性がありません。
先週、イーロンはTwitterに出すと約束した現金を調達するため、84億ドル(約1兆円)相当のテスラ株を売却しました。
そして、この売却自体で、テスラ株は1日で12%下落しました。
もしイーロンが、テスラを買うために必要な現金を調達するために、その5倍を売らなければならない場合、イーロンの売却が終わる頃には、テスラの株価は60~70%下落していることでしょう。
自分の会社の株価が急落するのはもちろん、テスラの株主から多くの反発を受けることになります。
テスラの株主の多くは、イーロンがTwitter購入のためにテスラ株を売ったことにすでに腹を立てています。
株主の多くにとって、Twitterは不利な交換条件であるだけではなく、不必要な買い物だったと思っていることでしょう。そして、彼らは自分の考えを我慢することを恐れません。
あるTwitterユーザーは「イーロン、あなたが株を売ったのが気に食わない。イーロンが株を売ったことで利益を上げたことを知っています。これはフェアじゃない」と発言しています。
このツイート以外にも「彼がTwitterを買うために使ったことに失望しています」という発言もありました。
もし、株価を60%や70%売り飛ばすような事態を引き起こしたら、イーロンは、すごい非難を受けることになるでしょう。
これは他の創業者でも同じようなケースがあります。例えばビル・ゲイツはMicrosoftの株を現金化するために25年費やす必要がありました。
少なくとも、彼らは、本当に売りたいなら売るという選択肢を持っています。ただ、多くの経営者は、株式の権利確定により、選択の余地がないのです。
会社のオーナーは、通常、会社が困難な状況にある場合、幹部や従業員が大量の株式を売却することを望みません。なぜなら、この人たちが株を売れば、株価はさらに下がり、会社の立場は更に悪くなるからです。
そのため、ほとんどの企業では、一定期間、従業員が株を売却できないようにするストックベスティングという政策を実施しています。
例えば、GoogleやAppleは4年間の権利確定スケジュールを採用しています。
つまりGoogleのサンダー・ピチャイが昨年2億8100万ドル(約360億円)を稼いだとか、Appleのティム・クックが昨年2億6500万ドル(約340億円)を稼いだといった報道は事実ですが、実際には彼らはこの先何年もこのお金に手を付けられないのです。
彼らが即座にアクセスできるのは現金報酬だけで、サンダー・ピチャイの場合はわずか65万ドル(約8,400万円)という見積もりです。
つまり、サンダーやティムのような人は、書類上では2000万ドルや3000万ドルの豪邸を余裕で手に入れることができますが、実際には先立つ現金がないため、住宅ローンを組むことを余儀なくされてしまうのです。