» 「お金が欲しい」インテルCEOが政府に打ち明けた危機的状況
インテルのパット・ゲルシンガーCEOのコメントに対し、半導体大手である台湾TSMCの会長が反論しています。
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インテルCEO「台湾に頼るのは危険」TSMC会長の反論は?
インテルのパット・ゲルシンガーCEOは先週、ライバルである台湾の半導体ファウンドリTSMCについて「台湾は安全な場所ではない」と取り上げ、同社の地政学的リスクを主張しました。同CEOは根拠として、北京が今週、台湾の防空識別圏に27機の戦闘機を送り込んだことを取り上げています。
TSMCのマーク・リュー会長はこれについて、海外メディア『CNA』台湾版の質問に答え、ゲルシンガーCEOのコメントに短く反論しています。
対処すべきことは何もない。TSMCは業界の他社を悪く言うことはありません。
これは、TSMCを名指しして危険性を訴えたインテルへの皮肉となる格好です。リュー会長はまた、ゲルシンガーCEOが取り上げた地政学的なリスクについて「短期的には影響があるかもしれないが、台湾は最高の技術と最高の製造エコシステムをもって、世界の半導体産業に輝かしい10年をもたらすことができると信じている」と述べました。
同氏はまた、ゲルシンガーCEOの主張を信じた人はあまりいなかったのではないか、と付け加えており、今回の騒動による影響がほとんど無いことを示しました。この余裕の裏側にあるのが、TSMCが進めている計画です。
TSMCは現在、米アリゾナ州に新たな工場を建設しています。リュー会長によれば、この計画は今のところ予定通り進んでいるとのこと。同氏は、2024年の第1四半期には主に5nmプロセス技術を用いたチップの量産を開始するだろうと述べました。
テック系メディア『wccftech』は、このアリゾナ州の工場について、TSMCの公式計画では月産2万枚の生産を予定しているものの、実際には5倍の月産10万枚になるという噂があることを指摘。さらに同工場で、5nmではなく3nmのチップセットも生産される可能性についても示唆しています。
また、TSMCは11月上旬にソニーグループとの提携を発表しており、2022年に日本の熊本県で工場の建設を開始する予定です。ここでは、2024年末までに22nmおよび28nmプロセスを用いたチップの量産を開始する予定とのこと。
リュー会長は、世界の半導体需要は今後も成長を続けるとし、2030年には世界の半導体部門の生産額が1兆ドルに達し、電子製品市場全体に3兆ドルから4兆ドルの価値を生み出すと予測しました。
TSMCは台湾から世界へと工場を広げ、リスクを低減しつつ生産能力をさらに高めていくでしょう。対するインテルはプロセス微細化の技術面で遅れを見せており、最近では、TSMCにチップ生産の一部を任せる契約が結ばれたことも噂されています。