インテルのパット・ゲルシンガーCEOが、米国政府からの補助金について不満を述べていたことを、テック系メディア『wccftech』が伝えています。
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「米国政府は補助金を出すべき」インテルCEOが主張
『wccftech』によると、ゲルシンガーCEOは先日の講演で、米国における持続可能な半導体サプライチェーンの構築に向けて、米国の企業を支援するべきであると主張しました。この発言は、韓国サムスンがテキサス州に170億ドル規模の半導体製造施設の建設を決定したことを受けてによるものです。
ゲルシンガーCEOは、台湾や韓国の半導体企業は政府から多額の補助金を受けており、これが半導体産業の成長の原動力であると述べました。同氏は「インテルは企業と戦っているのではなく、国と戦っているようだ」と話しています。
TSMCやサムスンとの競争ではなく、台湾や韓国との競争になっています。中国政府の補助金は、さらに大きなものです。(ゲルシンガーCEO)
ゲルシンガーCEOは政府が支援するべき企業の例として、マイクロン・テクノロジー、テキサス・インスツルメンツ、そして自社インテルを取り上げました。同氏はこのような企業を支援することにより、チップ製造に関する貴重な知的財産(IP)をアメリカ国内に留めることができると主張しています。
また、世界最大の半導体ファウンドリである台湾TSMCについて「安全な場所ではない」と主張しました。ゲルシンガーCEOは例として、北京が今週、台湾の防空識別圏に27機の戦闘機を送り込んだことを取り上げています。
台湾TSMCはAppleやAMDなどのチップセットの供給先であり、主力製品を支える根幹となっています。つまりゲルシンガーCEOは間接的に、台湾に頼る米大手テック企業の現状は危険である、と示唆しているのです。
半導体産業は「強い米国」の象徴でもありますが、最近では韓国や台湾が大手ファウンドリとして大きな成長を見せています。対して設計から製造までを一貫して行うインテルは、プロセス微細化に関する技術面で苦戦しており、チップセット性能でも遅れをとっています。
このように、AppleやAMDに追いつきたいインテルとしては、少しでも補助金がほしい状況です。海外通信社『REUTER』によれば、インテルは以前にも、欧州の半導体工場新設に関し、ドイツを始めとする欧州諸国の政府に約100億ドルの助成金を求めています。