Androidスマホの半導体市場は長らく米クアルコムのSnapdragonシリーズが支配的であり、AppleのAシリーズと比較されてきました。
しかし、この2大巨頭によるスマホ半導体市場の体制は、台湾の半導体メーカーMediaTekにより崩れ去りつつあるようです。
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台湾MediaTekがスマホ向け新チップDimensity 9000を発表、世界最高の性能をアピール
スマートフォンの半導体市場で急成長を遂げているMediaTek。カウンターポイント社の調査によると、同社は2020年から著しい成長を遂げ、21年第2四半期の段階ではシェア率世界1位となっています。
そのMediaTekが11月19日、新たなスマホ向けチップセットとして“Dimensity 9000”を発表しました。これは、世界で初めて4nmプロセスで設計されたチップセットとなります。
同社は、Dimensity 9000はベンチマークソフト『Geekbench』のパフォーマンスにおいて、Appleの『iPhone 13』に搭載されたA15 Bionicと同等のマルチコア性能を持ち、Snapdragon 888搭載モデルを含む、全ての現行のAndroidフラッグシップスマホに勝ると主張しています。
さらには、人気モバイルゲーム『原神インパクト』で「iPhoneよりも高いFPSを長時間維持した」とアピールし、ゲーム性能においてはAppleのAシリーズを凌駕したことを示しました。他にも、スマホ業界で権威のあるベンチマークテスト『AnTuTu』で、世界で初めて100万点を超えるスコアを達成したとアピールしています。
加えて、AI機械学習(ML)性能も驚異的なものとなっているそうです。同社はDimensity 9000のML性能について、Googleが今年発表したチップセット“Tensor”を16%上回ると述べています。
MediaTekのチップは格安スマホでの採用が多いため、「安かろう悪かろう」というイメージで見られてきました。しかし、同社のDimensityシリーズはこのイメージを確実に覆しつつあり、様々な「世界初」と「世界一」を達成したDimensity 9000はこの流れを加速させるでしょう。
米クアルコムやAppleにとって、このDimensity 9000は新たなハードルとなりそうです。ただし、テック系メディア『Android Police』はDimensity 9000がミリ波に非対応であることを挙げ、特に北米市場では苦戦するだろうと指摘しています。
MediaTekは2022年第1四半期までに、最初のDimensity 9000搭載スマホが登場すると明言しています。対して、クアルコムは来年の初めごろに、新たなハイエンド向けチップSnapdragon 898(8Gen1)を発表すると予測されています。