インテルが発表したAlder Lakeについて、海外YouTubeチャンネル『Linus Tech Tips』のライナス氏が説明しています。
動画では、シリーズの主力である『Core i5-12600K』とAMDの『Ryzen 5 5600X』との比較が公開されており、同動画は公開から1週間足らずで視聴回数が200万回を超える注目を集めています。
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インテルの新CPU、Alder Lakeに採用された「ハイブリット・アーキテクチャ」
ここ数年間、インテルは悪い評価を受け続けており、ライナス氏は「格好のサンドバッグだった」と表現しています。しかし、その評価はAlder Lakeで覆るかもしれません。
彼はAlder Lakeについて「パラダイムシフト(劇的変化)」であり「インテルはAMDに勝利した」と高く評価しています。ライナス氏が指す大きな進化とは、インテルが新たに採用した、「ハイブリッド・アーキテクチャ」と呼ばれる新しいCPUコアの構成です。
このアーキテクチャでは、コアが性能重視のPコアと効率重視のEコアに分けられています。例えば、Alder Lakeシリーズの『Core i5-12600K』は10コア構成ですが、うち6つはPコアで、4つはEコアとなっています。
基本的に、Pコアは性能が高く、Eコアは抑えられています。実際にこれはどのような効果をもたらしたのでしょうか?『Linus Tech Tips』は、ゲーム向けCPUの寵児であるAMDの最新プロセッサ『Ryzen 5 5600X』とインテルのAlder Lake『Core i5-12600K』を比較しています。
» 『Core i5-12600K』vs『Ryzen 5 5600X』
比較には様々な課題があったようで、例えば、RyzenはDDR4メモリ、Core i5はDDR5メモリを利用し比較されました。ライナス氏は両CPUにとって「出来る限り良い環境」で比較した結果であると補足しています。
全体的な結果として、『Core i5-12600k』は『Ryzen 5 5600X』と比較して約30%リードしています。ライナス氏は「小売価格はわずか10ドル高いだけなので、非常に魅力的だ」としています。
これは、『Core i5-12600k』がいまだ10nmプロセスを採用していることも考えると、非常に印象的な結果です。『Ryzen 5 5600X』は7nmプロセス設計であり、性能向上において重要である微細化ではAMDが勝っています。
ただし、比較的『Core i5-12600k』が安いとはいえ、最高の性能を引き出すためにはDDR5のメモリや最新のマザーボードを買う必要があるため、全体的な費用は決して安く収まらないでしょう。とはいえ、それでもインテルが大きな進化を見せたことは称賛に値します。
» ハイブリット・アーキテクチャの特徴と強み
Alder Lakeの大きな進化には、前述の「ハイブリッド・アーキテクチャ」採用が大きく関係していると考えられます。電力消費を抑えたEコアがある分、高負荷時に動くPコアは常にフルパワーを発揮でき、消費電力の制限も外されています。
Alder Lakeはこの「日常的な動作を効率的なEコアに任せ、Pコアは全力稼働」という分業制を取ることで、発揮できる最大の性能を向上させました。実はこれは、インテルの別のライバルであるARMのアーキテクチャ(AppleシリコンやAndroidスマホのCPUなどが採用)に使われている、「big.LITTLE」という技術と似た考え方です。
ただしその分、最大の性能を発揮した際の消費電力や熱量は大きくなっています。『Linus Tech Tips』によれば、例えば『Core i9-12900K』の場合、ベースパワーが125Wであるにも関わらず、3Dソフト『Blender』などで長時間レンダリングを行うと、230W以上の電力を簡単に消費してしまうそうです。
しかし『Core i5-12600K』については、『Blender』やゲームの両方で、電力消費は125W以内に収まっており、Ryzen 5 5600Xよりもわずかに大きい程度に収まっています。特にゲームプレイ時は、消費電力にほとんど差はないようです。
ライナス氏は最後に、『Core i5-12600K』について「Ryzen 5 5600Xをも凌ぐ世代交代であり、勝者と言えるだろう」とコメントしています。
様々な課題はあるものの、インテルがゲーム性能の王座を奪還したことがこれではっきりと示されました。特に注目すべきはコスパも良い『Core i5-12600K』で、これはしばらくの間、ゲーマー御用達のCPUとなることは間違いないでしょう。
▽ Core i5-12600K
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