インテルの新プロセッサー、Alder Lakeシリーズのハイエンド『Core i9-12900K』のベンチマークスコアが公開されています。
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Alder LakeはM1 Maxにベンチマークで勝利
インテルは先週、第12世代となる“Alder Lake”シリーズとして、ハイエンドの16コア『Core i9-12900K』など、デスクトップPC向けのプロセッサーを発表しました。
Alder Lakeはデスクトップ向けではあるものの、AppleのMacBook Proに搭載されているM1 ProおよびM1 Maxチップとの比較は興味深い結果となっています。M1 Pro及びMaxは現在のところノートPCにしか搭載されていませんが、今後新たなiMacなどに搭載される可能性もあります。
ベンチマークソフト『Geekbench 5』の結果によると、『Core i9-12900K』はマルチコア性能において、M1 ProおよびM1 Maxよりも最大で約1.5倍高速であることが明らかになりました。
テック系メディア『MacRumors』によれば、M1 ProおよびM1 Maxの平均マルチコアスコアが約12,500点であったのに対し、『Core i9-12900K』の平均マルチコアスコアはこれまでのところ約18,500点となっているとのこと。
しかし同メディアは、Alder Lakeは性能が向上している一方、問題点もあることを指摘しています。それは、電力消費量の違いです。
『Core i9-12900K』は、M1 ProおよびM1 Maxよりもかなり高速であるものの、明らかにAppleシリコンよりも多くの電力を使用しています。インテルはこのチップを最大125W、Turbo Boost時には最大241Wの電力を使用すると記載しています。
Appleは自社のチップが市場で最も高速になることよりも、消費電力対性能が業界最高になることを約束しています。AppleのM1シリーズは確かにこの偉業を達成しており、ノートPC向けプロセッサとしてはかなりの優位を誇っています。
このため、いくらベンチマークで勝っても、消費電力量が全く違うAppleシリコンの相手にはなりません。さらに、Appleがデスクトップ向けにより消費電力の多いCPUを開発すれば、今回のリードがあっさり覆されてしまう可能性も十分にあります。
インテルはCPUの消費電力対性能において重要なプロセスの微細化で大きく遅れており、業界の標準に追いつくにはかなりの時間がかかると考えられます。Alder Lakeは10nmプロセスで設計されているのに対し、現在のAppleシリコンは5nmプロセスとなっています。
さらにAppleは台湾TSMCの3nmプロセスのチップセットの生産を予約しており、今後も業界のトップを進み続けると考えられます。デスクトップ向けCPUとしてはAlder Lakeは優秀なものの、モバイル向けが支配的な半導体業界全体でAppleシリコンと対等に戦うためには、今後も消費電力量が大きな課題となってくることは間違いないでしょう。