2017年、Apple Parkと呼ばれるAppleの新本社が完成しました。そしてこれは、地球上でも有数の高価な建造物です。Apple Parkの建設には4年を要し、費用は50億ドル以上がかかったとされています。
では、Appleはこれだけの費用と年月を費やして、一体何を手に入れたのでしょうか?これについて、Appleを解説するYouTubeチャンネル、Apple Explainが解説しています。
Source:Apple Explained
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4年の歳月と50億ドル以上が費やされたAppleの本拠地、Apple Parkの内部
まずは、Apple Parkのシンボルであるメインの建造物、正式名称“The Ring”をみていきましょう。
ここは4階建てで、12,000人以上の従業員が働くオフィススペースがあります。The Ringは内周と外周に通路が設けられており、反対側に行くには7分半、一周するには15分ほどかかるそうです。
しかし、実際には長い距離を歩いても気にならないかもしれません。The Ringの外側は巨大な曲面ガラスパネルで構成されており、一望できる屋外の風景は素晴らしいものでしょう。
Apple Parkは、社員同士の偶然の出会いによってアイデアが自由に出てくるように、可能な限りオープンに設計されています。オフィススペースには個室やオープンなオフィスなどがあり、ある時は集中し、すぐに同僚に出会うこともできるようになっています。
ところが、Appleの社員からは不満もでています。ガラスを多用する設計のため、うっかりすると壁やドアにぶつかってしまうという問題があったのです。実際に、2人の社員がガラスの壁やドアに激突し、怪我をして入院するという事件すらありあました。
そのため社員はガラスを目立たせるために付箋を貼っていたそう。しかし、これは「デザイン性を損なう」という理由で、すぐに撤去されてしまったそうです。
The Ringが従業員の交流を促進するもう1つの方法は、あちこちに小さなレストランを配置するのではなく、一つの大きなCaffe Macsと呼ばれるレストランに社員をまとめる点です。
これにより、従業員はレストランにたどり着くまでにThe Ringの中を長い距離歩かなければならず、全員が同じエリアで食事を取るため、その最中に交流が生まれる可能性が高くなります。
このCaffe Macsには中庭に面した世界最大のガラス張りのドアが備えられており、天気の良い日にはここが開放されます。
The Ringの特徴的な中庭には、アプリコット、オリーブ、リンゴの果樹園と、レストランの近くにはハーブガーデンがあります。他にもアップルは、The Ringと同様に真円を描く池を配置しました。
レインボーカラーの建造物もあり、ここはステージとして利用されています。これはジョナサン・アイブとフォスター・アンド・パートナーズが共同でデザインしたもの。レインボーカラーは初期のAppleロゴと同じようになっています。
しかし、The RingはApple Parkにあるいくつかの建物のうちのひとつに過ぎません。
こちらのちょっとAppleらしくない建物。これはGlendenning Barnと呼ばれるもので、アップル社の当初の計画にはありませんでした。この建物は1916年に建てられたもので、たまたまAppleが新本社のために購入した土地にありました。
Appleは当初この建物を撤去するつもりでしたが、2004年にクパチーノ市によって歴史的建造物に指定されていたため、Appleはこの納屋を維持し、メンテナンス用の道具や造園資材の保管場所として使用しています。
Glendenning Barnの横には、巨大なフィットネス&ウェルネスセンターがあります。ここには更衣室、シャワー、ランドリーサービス、グループワークアウトルーム、そして石で覆われた2階建てのヨガルームが完備されています。
この石はただの石ではありません。これはジョブズお気に入りのヨセミテのホテルの石に寄せるため、わざわざカンザス州の特定の採石場から調達し、丁寧に加工されたものです。
さらに南下すると、バスケットボールやテニスを楽しめるスポーツフィールドがあり、その先には南側の駐車場に併設されたセントラルプラントがあります。
セントラルプラントには、燃料電池、バックアップ発電機、冷凍機、復水器の貯水、温水の貯水、変電所、給水・消火ポンプなどのユーティリティー機器が設置されています。駐車場には、従業員用に9,000台、Apple Park全体で14,200台の駐車スペースが確保されています。
南側の駐車場から東に向かうと、スティーブ・ジョブズ・シアターがあります。曲面ガラスのパネルで構成された円形の建物で、世界最大のカーボンファイバー製の屋根が付いています。
この建物の異常さは、柱が一本もないこと。軽量なカーボンファイバーの屋根を採用することで、曲面のガラスのみで構造を支えているのです。
地下には発表が行われるシアターがあり、921人を収容することができます。
シアターから北東に向かうと、ビジターセンターがあります。これは2階建ての建物で、限定グッズを販売するApple Store、カフェ、拡張現実(AR)でApple Parkを詳細に探索できる3Dモデルを展示したエリア、キャンパス全体を見渡せる屋上テラスの4つのエリアで構成されています。
ティム・クックはこのApple Parkを「ジョブズのビジョンは、Apple Parkのいたるところに反映されている」といいます。スティーブ・ジョブズが夢見たこのApple Parkの中で、今もAppleが描く未来が創り上げられているのです。