2014年に発表され、以来成長を続けている『Apple Watch』。しかしそれまでのApple製品の命名ルールに従えば、『iPhone』や『iPad』などと同じように『iWatch』となるはず。
ではなぜAppleは、これまでの命名ルールを曲げ、『iWatch』ではなく『Apple Watch』としたのでしょうか?これについて、Appleを解説する海外YouTubeチャンネル、Apple Explainedが解説しています。
Source:Apple Explain
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なぜ『iWatch』ではなく『Apple Watch』になったのか
ティム・クックは以前インタビューの中で、まさにこのことついて聞かれ、曖昧な答えを返しています。
(クック)『iWatch』より『Apple Watch』という名前が気に入ったからね。
しかし、Appleが製品の細部にまで気を配っていることを考えると、『Apple Watch』が命名ルールから逸脱したのには、もっと大きな理由があったはずです。
Appleは『iWatch』を商標登録できなかった
これについてApple Explainは、『iWatch』という名前を商標登録する際、Appleは製品開発中にいくつかの法的問題に直面した、といいます。
そう、『iWatch』という名称は、すでに米国のOMG Electronicsという会社や、アイルランドのProbendiというソフトウェア開発会社、そして中国の会社がすでに主張していたからです。
Appleが『iWatch』という名前を使うとなると、それぞれの地域で高額な商標権争いをしなければなりません。
前から“同じ問題”がAppleを困らせていた
実はこれ以前から、同じ問題は起きていました。例えば『iPhone』という名前は発売前にシスコ社に商標登録されていたため、Appleは以前シスコ社に非公開の和解金を支払っているそうです。さらに『iPad』は中国のProview社が商標を取得していたため、Appleは中国で『iPad』を発売するために6,000万ドルを支払わなければならなりませんでした。
このように、企業は先んじて次のApple製品の名称を予測し、その名前を商標登録し、Appleに売り込むことで数百万ドルの利益を得る可能性すらありました。いわゆる“商標ゴロ”ですが、この考えはますます一般的になり、広まっていきました。
そのため、Appleは2010年に“i”という接頭語を商標登録しようとしましたが、裁判所はこれを却下しました。“i”というの1文字はあまりに一般的で、所有することはできないと主張したのです。つまり、Appleはすでに持っている商標、つまり“Apple”を使う他なかったのです。
『Apple Watch』以前にも名前を譲った例があった
『Apple TV』はもともと『iTV』になるはずでした。2006年、スティーブ・ジョブズはコードネーム『iTV』の開発を明らかにします。しかし『iTV』に商標権を持つイギリスの放送局の訴訟により、Appleは製品名の変更を余儀なくされ『Apple TV』となったのです。
以上が『iWatch』が生まれず、『Apple Watch』になった理由だとApple Explainは解説しています。もしかするとティム・クックが本当に『Apple Watch』という名前の響きを気に入ったのかもしれませんが、それよりも訴訟がゼロになることの方が、彼は確かに気に入りそうです。