iPhoneやApple Watch、Macには「計算機」アプリがありますが、iPadにはなぜか搭載されていません。この理由について、海外YouTubeチャンネル、Apple Explainedが解説しています。
Source:Apple Explained
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AppleはiPadの計算機アプリを作れなかった
iPadが初めて誕生した当時、ソフトウェア開発を率いていたのはスコット・フォーストールという人物でした。彼はiOS初期のインターフェイス開発の責任者でしたが、iPadのプロトタイプに搭載されていた計算機アプリは、iPhoneの電卓を単にスケールアップしただけのものでした。
iPad発売の1カ月前にこの計算機アプリを見たスティーブ・ジョブズは、すぐにフォーストール氏を呼び出しました。
ジョブズは「電卓の新しいデザインはどこにあるんだ。これは酷い」と言います。これに対してフォーストールが「新しいデザイン?これは我々が出荷しているものだ」というと、ジョブズは「いや、これはダメだ。これでは出荷できない」と答えました。
フォーストール氏は説得を試みますが、結局ジョブズは「計算機アプリを作り直すか、搭載するのをやめるか」と最後通牒を出します。iPadの発売は数週間後まで迫っていたため、フォーストール氏はそこで諦め、オリジナルのiPadには電卓が搭載されていませんでした。
たかが計算機のアプリにここまでこだわるのは変に思えますが、これはジョブズにとって珍しいことではありませんでした。
実は1981年、Macintoshの開発を率いていたジョブズは、ここでも計算機ソフトの初期設計でやや不満をもっていました。ジョブズは担当者にこういったと言われています。「背景の色が濃すぎるし、線の太さも違うし、ボタンも大きすぎる」と。
担当者は何度も作り直しますが、ジョブズは納得しません。仕方ないので、計算機ソフトのデザインをジョブズに任せると、彼はものの10分で満足いくデザインを作りあげたといいます。
なお以前、海外のテック系YouTuber、MKBHDがクレイグ・フェデリギにインタービューしたところ、「本当に満足行いく、最高のiPad向け計算機アプリができたらリリースする」と説明しています。これは、Appleの徹底的にこだわる姿勢が今でも変わっていないことを示しています。
以来、『iPad』シリーズの登場から10年以上が経ったいまでも計算機アプリは搭載されていません。Appleは今でもジョブズの意思を引き継ぎ、計算機を作り続けているのです。