「バッテリーが劣化すると、iPhoneの処理能力が低下する」という話題をご紹介しましたが、これを裏付けるようなデータが新たに公表されました。
ベンチマークアプリの結果を分析
iPhoneの処理能力を測るベンチマークアプリ『Geekbench 4』を販売する、Primate Labsの創業者John Poole氏が、同アプリで計測された結果を分析。すると『iPhone 6s』と『iPhone 7』で処理能力の低下を示すデータが見つかりました。
処理能力を低下させて消費電力を減らす、低電力モードを使って計測された結果は除外されています。
iPhone 6sの場合、処理能力を示すスコアが『iOS 10.2』では2,500である場合がほとんどでしたが、『iOS 10.2.1』では低下。2,500未満と計測された事例が増え、『iOS 11.2』ではさらにその傾向が強くなっている、としています。
iPhone 7では、iOS 10.2・iOS 10.2.1・iOS 11.1.2まではスコアが3,500である場合がほとんどだったものの、iOS 11.2ではスコアが3,000未満になる事例が増えました。
iPhone 6s/7に何が起きているのか?
上記のデータからPoole氏は、iPhoneの使用年数が長くなるにつれて処理能力が低下していて、その原因はiOSの一部機能にある、と指摘しています。
その根拠として、先のiPhone 6sのスコアの傾向がiOS 10.2.1で急に変わったことを挙げ、バッテリーの状態が一定以下になった場合にiPhoneの処理能力を制限する機能によって処理能力の低下が起こるのではないか、と推測しています。
この機能は、『iPhone 6』・iPhone 6s(Plus含む)の電源が突然オフになる問題を受け、AppleがiOS 10.2.1で追加したものだと考えられています。
→ iPhone 6/6sを『iOS 10.2.1』に更新すべき理由
ただ、説明がつかないのはiPhone 7の処理能力低下です。iOS 11.1.2までは処理能力低下の傾向は見られませんでしたが、iOS 11.2では顕著になっています。公表されていないだけで、iPhone 7にも同様の問題があったのでしょうか。
「説明なしの能力低下」で起こりうる問題
もしPoole氏が指摘するような機能がiOSに組み込まれているのだとすれば、ユーザーはAppleから説明を受けていません。
説明なしの修正では処理能力低下の原因がユーザーには分からないので、ユーザーに「処理が遅いからバッテリーを交換しよう」ではなく「処理が遅いからiPhoneを買い換えよう」と考えさせる恐れがある、と同氏は指摘しています。
バッテリーの交換費用は『AppleCare+』対象なら0円、保証対象外の場合でも税別8,800円ですが、iPhoneを新たに購入する場合はそれ以上の金銭的負担が生じる場合があります。
もし指摘されている機能が事実なら、「Appleは古いモデルの処理能力を意図的に低下させ、iPhoneを買い換えさせようとしている」とする説を勢いづかせるようなものだ、と同氏は述べています。
ただ、指摘されている機能を示す物証はiOSから見つかっておらず、Appleは本件について声明を出していません。バッテリーを交換したら処理能力が戻った、とする経験談もありますが、処理能力が確実に戻るのかは不明です。
参考
iPhone Performance and Battery Age – Geekbench
・販売元: iTunes K.K. ・掲載時のDL価格: 無料 ・カテゴリ: ユーティリティ ・容量: 43.9 MB ・バージョン: 2.0.1 |